ロスアンゼルスで相次いで発生した拉致事件。行方不明になったのは検事ケリーをはじめ、警察官、性犯罪者、金貸し、神父、俳優、中国人、強盗、保険会社のサラリーマンと、性別も年齢もバラバラな男女9名。彼女らは密室に閉じ込められ、ポールに手錠でつながれ、身動きがとれない状態にされていた。とそこに、黒ローブをまとい、ラバーマスクを被った男が部屋に現れた。彼は9人に対し、「ここを脱出する手段はただ一つ。9人がここに閉じ込められた理由を見つけること。見つけられなかったら、10分おきに1人ずつ処刑する」とだけ告げると、部屋を出て行った。混乱する9人をよそに、部屋に設置されていたカウンターが回り始める。だが理由を探そうにも、殆どの者が互いの顔も知らない状況で手がかりが見つかるわけもなく、瞬く間に10分が経過してしまった。直ちに男が戻ってきて、彼らの1人を銃殺。死体の手錠を外し、部屋の外へと引きずり出していった。このままでは、本当に全員が処刑される。8人は手がかりを見つけるため、それぞれ心当たりのある罪を打ち明けていくことにした。すると次第に、9人の関係性が見えてきた。2年前の強盗事件、容疑者とされた男の裁判、収監された刑務所、そして男の病死。この一連の流れに、9人は各自関わっていたのである…。
「サブリナ」ことメリッサ・ジョーン・ハートが主演し製作も務めている密室サスペンス。ひたすらに9人(徐々に減っていくが)の話し合いが続く内容で、各々が語るエピソードが1つの流れに収束していく様は見ていて気持ちがいい。9人全員の閉じ込められた理由を知らなければならないのに、懺悔室の会話を他言しない神父や、言葉が通じない中国人を交えることで、なかなか回答が見えにくくしているのも秀逸だ。
しかしこの映画、「ラスト9分の衝撃」と謳っているが、それまでの会話である人物の異常性が露骨に語られていたので、終盤の展開は単なる予定調和にしか感じられなかった。そもそも監禁した真犯人は、密室の様子をビデオカメラで覗いているのに、部屋の会話内容をまるで聞いてないのはどうなのか。10分ごとの答え合わせの時にしか部屋の連中の声を聞かないものだから、ある人物の危険性にまるで気づくことができない。それが終盤のどんでん返しを引き起こしてしまうのだから、あまりにも迂闊に感じられた。