宇宙戦争ZERO             「評価 B」

1892年。コロラド州の小さな町アヴァランスでは、列車強盗サムの処刑が行われんとしていた。賞金稼ぎのローズ、元恋人アビゲイル、ウラン鉱山を所有するジュールスらが見守る中、サムは絞首台に立ち、ロープを首に巻く。とその時、ヤツが現れた。球状の体、蜘蛛のような四足、そして長い尻尾をもつ、異形のエイリアンが。保安官たちは未知との遭遇に驚き、一斉に発砲。だがエイリアンは鎌のごとき鋭い足と、尻尾の先端から放つ針で、ことごとく返り討ちにしていった。そのドサクサで絞首台が破壊されると、自由を得たサムはダイナマイトを使い、エイリアンを爆破する。これで万事解決かと思いきや、町には次から次へとエイリアンが押し寄せてきた。更に上空にはデススターのような巨大UFOが出現し、中からは数百ものエイリアンが降下してくる。これを一々相手にしては埒が明かない、とサムや住民たちは建物の中に逃げ込み、篭城しながらエイリアンの様子を窺うことにした。するとエイリアン、まるで何かを探しているかのように、穴を掘り続けているではないか。エイリアンが地球にやってきた目的、それは地中に埋まったウランの捕食だ。ウランが好物のエイリアンにとって、ウラン鉱脈の眠るアヴァランス周辺は絶好のグルメスポットだったわけだ。そこでサムは、奴らの食性を逆手に取ることにした。ジュールスが保管するウラン粉末をばら撒いて、エイリアンたちをUFOの真下まで誘導し、それを爆破することで一網打尽にしようとしたのだ…。

「ディープ・インパクト2008」のK・T・ドナルドソンによる、カウボーイ meets エイリアンな内容のSFウエスタン。本作の舞台は「カウボーイ&エイリアン」よりも現代寄りの1892年で、ウラン鉱物の価値が認められているものの、ベクレルによる放射線の発見はされておらず、ウランによる被爆が「謎の病気」として片付けられていた時代だ。ウランはエイリアンの好物であると同時に武器であり、奴らが尻尾から飛ばす針はウラン鉱石でできている。針を食らった人間が見る見るうちに衰弱して死に至ることから、登場人物たちがウランの有害性を確信する…なんて時代設定を上手く活用した展開も盛り込まれていて唸らされた。サムたちがウラン粉末を凄くぞんざいに扱っていて、エンディング後に白血病になりはしないかとヒヤヒヤしてしまうのもまた一興。エイリアンの退治方法が爆破と口内への銃撃の2パターンしか存在せず、戦闘シーンが単調に感じられるのは若干辛いものがあった。しかし、奇抜な設定を単なるイロモノに終わらせたくない、という製作者の気概は、ひしひしと伝わってくる作品だった。


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