リズは恋人のピーターや友人たちと共に、ヨットに乗ってカリブ海のクルージングに出かけた。ヨットには酒も音楽もダッチワイフも揃っており、一行はゴキゲンな休日をエンジョイする。しかしそのヨットが座礁したから大変だ。リズたちは海に投げ出され、気がつくと地図にも載っていない無人島の浜辺へと流されていた。直ちに救援を要請するが、なにぶん地図にない島なので、なかなか助けはやってこない。でも一同は、状況を深刻に受け止めていなかった。浜辺には救命ボートも漂着していたので、いざとなったらそれに乗って島を出ればいい、と考えていたのだ。そこで彼女たちは、救援を待つ間、無人島で楽しい休日を過ごすことにした。そんな中、リズはピーターからプロポーズされる。リズはそれを快く受け入れ、2人は幸せの絶頂にいた。ところが翌朝、みんなが目を覚ますと、ピーターがいない。彼が寝ていた場所には、大量の血痕。それが何かに引きずられたように、森の中まで続いていた。リズは半狂乱になりながら、森へ駆けていった。友人たちもピーターを探すため、彼女を追う。しかしこの森には、恐ろしい魔物が潜んでいた。学者たちから“忘れられた人々”と呼ばれている、人喰い類人猿。それが群れをなして暮らしており、島に立ち入る人間を片っ端から食い殺していたのである。友人たちは奴らの襲撃を受け、1人また1人を姿を消していく。そしてリズもまた、奴らによって気絶させられ、本拠地の洞窟まで運ばれていった。リズが目を覚ますと、そこには友人たちと、ピーターの亡骸が。最悪の事態に嘆き悲しみつつも、リズは奴らの目を盗んで洞窟を脱出し、浜辺へと辿り着く。あとは救命ボートに乗れば脱出できる──と思いきや、ボートがない。どうやら類人猿たちが洞窟まで持っていったらしい。そこでリズは、オイルを全身に塗って体臭を消すと、奴らの本拠地に再び足を踏み入れた…。
未開の地の類人猿が都会のヤングどもを地獄に叩き込む、アニマルパニック映画。類人猿から人間への一方的な暴力を描いた内容であり、全然「猿の復讐」で無いのはご愛嬌。前半は毎度のごとく水着でドンチャン騒ぎするヤングたちの姿がダラダラ写されるわけだが、ピーターが消えてからの中盤部分は結構楽しめた。類人猿の襲撃で友人たちが次々消えていく様をテンポよく見せており、類人猿のメイクも上々。冒頭から伏線を張っていた類人猿についての説明がテキトーすぎたのが気になったぐらいで、この部分だけ見れば良作と言ってもいいレベルだった。
でもこの映画、生存者がリズ1人になった途端、いっぺんに面白みが消え失せてしまう。それまでの陽の当たる密林から一転、日陰や夜の場面ばかりになり、ろくな照明もないものだから画面が見づらいこと限りなし。これだけでも観ている方のテンションは急降下だというのに、加えて後半部分は話のテンポも悪いときた。それまではハイペースでバンバン始末していた類人猿たちが、どういうわけかリズだけは即座に殺そうとしない。他の人間だったらとっくに死んでいるようなシチュエーションに直面しても、特に説明もないまま類人猿たちが退散し、事なきを得るという展開が何度も訪れ、あからさまな引き伸ばしがされていたのだ。そんな後半部分を象徴するのが、クライマックスにおける、リズと首領格“オオカミ顔”との一騎打ちだ。リズはろくな武器を持たず、どう考えても勝てる見込みは薄い。しかしこのオオカミ顔、サドなのか圧倒的有利な状況に胡坐をかいているのかは知らないが、なかなかリズに止めを刺さない。リズを掴んで投げ飛ばし、ジャンプで接近。またリズを掴んで投げ飛ばし、ジャンプで接近。そしてまたリズを──って、早く終わらせろよ! あまりものグダグダな戦闘を目の当たりにする頃には、中盤部分で感じた興奮はすっかり静まり返っていた。