ヘル・トラップ          「評価 C」

1942年。ドイツとフランスが交戦する中、3人の軍人──フランク、ピエール、アルベールは、大西洋上に投げ出され、小さな孤島に漂着した。お互いの素性をよく知らない中、3人は協力して島の探索を開始する。だがその矢先、3人は巨大な穴に落ちてしまう。フランクとピエールが目を覚ますと、そこは穴の底。アルベールは穴の途中に引っかかって死んでいた。アルベールの服からは、ナチスの身分証が。ユダヤ人のピエールは衝撃を受けつつも、フランクと共に穴を脱出した。そして島の探索を再開するが、よく見ると島の各地には拡声器のようなものが設置されており、明らかに誰かが住んでいた様子。やがて彼らは、最初に落ちた穴の中に隠し扉を発見した。扉を開けると、広い部屋に出た。部屋には研究室と思しき設備が備え付けられており、その中央には凍りついたガラスの棺に眠る女性の姿が。2人は棺を開けてみようとしたが、突然ブザーが鳴り、部屋中に毒ガスが噴出された。慌てて外に逃げ出し、毒ガスが薄まったのを確認すると、部屋に戻った。そして部屋に残っていた資料を調べたところ、この研究室は13年前、バイエルンの科学者エドヴィーゲが作ったものと判明した。エドヴィーゲは使用人アリアンヌに思いを寄せていたが、アリアンヌは男に捨てられたショックで服毒自殺を図る。そこでエドヴィーゲは彼女を冷凍保存して仮死状態にすると、この孤島に研究室を構え、漂着した人間をモルモットにして解毒剤の研究に取り組んでいたのだ。そして今、既にエドヴィーゲは亡くなっているものの、研究室の机には完成した解毒剤と思しき薬が置かれていた。棺を正しく開ければ、アリアンヌを蘇生できるかもしれない。フランクは彼女を助け出そうと主張するが、ピエールは見知らぬドイツ女性のことは放っておいて島から脱出するべきと主張し、真っ向から対立した…。

呉越同舟の軍人たちが不思議な島を探検する、SFアドベンチャー。DVDのパッケージには巨大蜘蛛の姿が映し出されているが、こいつは島に棲息して薬の材料になっているだけで、別に人間と戦いはしなかった。それはともかくとして本作、奇妙な仕掛けだらけの島を探索する前半部分は楽しめたものの、研究室が発見されてからの後半は今ひとつな印象だった。アリアンヌを助けるか否かの議論について、ユダヤ人のピエールが人体実験によって得られた成果に否定的なのは分かるとして、対するフランクがアリアンヌに入れ込む理由がいまいち不明瞭で、どうにも釈然としないのだ。単純に惚れただけなのかもしれないが、それならそれを示す描写が欲しかった。


TOP PAGE