モンスターズ 地球外生命体          「評価 B」

2009年。地球外生命体を採取してきた宇宙探査機が、メキシコ上空で空中分解した。たちまち無数の地球外生命体がばらまかれ、メキシコは未知のクリーチャーが跋扈する危険地帯に。軍は被害の拡散を食い止めるべく、メキシコ北半分を巨大な壁で封鎖。壁の内部では、軍と地球外生命体が日夜戦い続けていた。そして、6年後。新聞カメラマンのコールダーは、上司の命令により、メキシコに滞在中の社長令嬢サマンサをアメリカまで護衛することになった。当初フェリーで国外脱出する予定だったが、出航前日にパスポートを盗まれてしまう。2人は止むを得ず、陸路でアメリカへと向かう。幾度もの地球外生命体との遭遇を経て、やがてアメリカとメキシコを隔てる壁までたどり着く。しかし壁の向こうの町は、壊滅的な被害を受けていた。地球外生命体の生息地は、すでに壁の外にも拡大していた…。

メキシコで地球外生命体と軍隊が激戦を繰り広げる──のを尻目に、2人の男女がアメリカへと旅をするロードムービー。地球外生命体がいる世界を舞台にしてはいるが、ストーリーは別に生命体とのバトルがメインではないので、生命体の姿がよく見えなくても大して気にならないというのはコロンブスの卵的発想だと素直に感心した。とは言え生命体の存在がおざなりにされていることもなく、目の前で車が吹っ飛ぶシーンや2匹の生命体が交流するシーンなど、要所要所で生命体のスケール感・迫力は存分に魅せてくれた。また地球外生命体が出てこない場面でも、TVでガスマスクの装着方法を教える啓蒙アニメが流れていたり、空爆で一般市民に多大な犠牲者が出ていて、その追悼モニュメントが作られていたりと、地球外生命体と軍隊の戦いが当たり前になった日常が端々から窺えて見応えがある。地元民との交流よりも2人の男女の会話がメインなので、ロードムービーとしては物足りないところもあるが、世界観の作りこみに舌を巻かされる作品だった。


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