神々の住まう世界、アスガルド。長きにわたりこの世界を統治してきたオーディンは、精霊ノルンより不吉な予言を聞かされる。悪神ロキがオーディンのもつ石鎚を奪い、全ての世界の根源である生命の木を破壊するというのだ。時を同じくして、ロキがアスガルドに出現し、魔物たちを率いてオーディンの居城ヴァルハラに攻め込んできた。オーディンは果敢にもロキに立ち向かったが、ロキの幻術にあえなく敗北。あわや石鎚を奪い取られんとしたが、オーディンは残る力を振り絞って石鎚を投げ飛ばし、生命の木の中心部に隠した。そして息子ソーに石鎚の隠し場所を教え、生命の木を守るよう告げると、息を引き取った。ところがソーは、まだ若く未熟な身。父の教えなんか聞きもしないで、ロキに単身突撃していった。当然かなうはずも無く、呆気なく追い詰められるソー。オーディンの従者ヤルンサクサが救援に駆けつけたおかげで、何とか命拾いすることができた。ヤルンサクサは「このままでは到底ロキに勝てない」と諭し、ソーを人間界に、更にその先にある生命の木へと導く。ソーは生命の木の試練を乗り越え、石鎚を入手した。石鎚はオーディンが持っていた武器。これでもう怖いものは無い。するとソーは「修行して強くならなければロキに勝てない」というヤルンサクサの言葉なんかまるで聞く耳を持たなくなり、すぐさまロキに挑んでいった。だがロキの幻術にアッサリ引っかかってしまい、またもや敗北。石鎚を奪われ、ヤルンサクサともども、地の底にあるマグマの海に落とされてしまった。ロキは石鎚の力を使い、世界の破壊を開始する。一方のソーはロキに対抗するべく、マグマの中から新たな石鎚を作り出した…。
「メガ・シャークvsクロコザウルス」のクリストファー・レイ監督による、「マイティ・ソー」モドキ映画。ソーが人の話を聞かない傲慢な性格である点は「マイティ・ソー」と一緒だが、そこから人間的に成長していった「マイティ・ソー」とは違い、本作のソーは最後まで脳味噌筋肉の単純バカで居続けたのは衝撃的だった。とにかく本作のソーは反抗期真っ盛り。オーディンの遺言を無視してロキに立ち向かい、おかげで石鎚の在り処をロキに探られるのなんて朝飯前。「修行するべき」とのヤルンサクサの忠告を無視してロキに挑むわ、「アスガルドに隠れるべき」とヤルンサクサが勧めると何の策もないのに「地球に留まってロキと戦いたい」と能天気なことを言い出すわで、ひたすらにストーリーの進行を妨げ続ける。これでちゃんとヒーローをしていればまだ見ていられるのだが、本作のソーの場合、この傲慢さのおかげでヤルンサクサを死なせてしまうのだから、本当に救いようがない。映像面はそこそこ頑張っているので、自主映画同然の「サンダーストーム 雷鋼の鎧」よりは遥かに観られる出来ではあるものの、それでも評価するには厳しいものがあった。