サンダーストーム 雷鋼の鎧      「評価 D」

アスガルドに暮らす神々と、ミッドガルドに暮らす人類。遥か昔、神々は人類を導き、人類は神々を崇拝して力を与え、両者は共生関係にあった。しかし死の騎士団を名乗る人間たちは、冥界の邪神を崇拝し、神々に対して反逆の戦い・ラグナロクをけしかけた。結果、死の騎士団は倒され、2つの世界は守られた。だが時が経つにつれ、人々の信仰心が薄れ、神々の力は弱まっていった。そして現代、エヴァンたち死の騎士団の残党は、再びラグナロクを起こそうと企てていた。彼らは凶暴なドラゴンを封じた十字架を集める一方、半神半人の女性スーザンに邪悪な力を宿らせ、冥界の女王ヘルを蘇生。ラグナロクへの準備を着実に進めていた。アスガルドのオーディンはこの事態を察知し、息子の雷神ソーに事態の収拾を図らせようとする。しかし人々の信仰心が薄れていたため、ソー自身がミッドガルドに降り立つのは不可能。そこでソーは自身の100代目の子孫にあたる、半神半人の科学者グラントに自らの力を託すことにした。冴えない科学者だったグラントは、ソーの力を授かったことで、全身から稲妻を放出する能力を獲得。更に開発していた強化スーツとハンマーを装備し、スーパーヒーロー“サンダーストーム”として生まれ変わった。サンダーストームは女刑事グレンダと協力し、死の騎士団のアジトに突入する。だが既にドラゴンは復活し、上空を飛びまわりながらミッドガルドを焼き払わんとしていた。ドラゴンを消滅させるには、ドラゴンの十字架を破壊すればいい。サンダーストームは飛び回るドラゴンをよそに、十字架を持つ女王ヘルに狙いを定めた…。

「恐怖のモンスターパニック 吸血巨大ヒル襲来!」のブレッド・ケリー監督による、「マイティ・ソー」モドキ映画。あの「吸血怪獣ヒルゴン」を何の工夫もないダメ映画にリメイクしたブレッド・ケリー作品ということで、出来の方は言わずもがな。あまりにもチープすぎる内容に、終始めまいと爆笑の嵐だった。サンダーストームは「アイアンマン」みたいなスーツを身につけ、ムジョルニアみたいなハンマーを手に戦う。しかしこのハンマー、振り回して武器として使うことは一切なく、ただ正面にかざして稲妻を放つだけ。別にハンマーが無くても稲妻は撃てるので、持つ必然性は皆無といっていい。なのに死の騎士団は、このハンマーをサンダーストームの重要な武器と見なし、ハンマーを奪い取って「これで勝ったも同然」と勝ち誇る。あまりものお間抜けぶりに、心が和んでしょうがなかった。稲妻や爆発のエフェクトもしょぼいの一言で、見ていて脱力必至。更にこの映画、セットの使い回しもひどい。どう見ても同じ部屋なのに、デスクとパソコンを置いて「研究所」とし、美術品を置いて「美術館」とし、テーブルと椅子を置いて「警察署の取調室」としている。この素晴らしいまでのリサイクル精神には感動を禁じえない。あまりもの凄まじいクオリティに、「よくぞこれを日本でソフト化してくれた」と配給会社に賞賛を送りたくなってしまう作品だった。


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