フライング・ジョーズ      「評価 C」

アチャファラヤ川流域の田舎町では、観光資源としてワニの養殖が盛んに行われていた。そしてワニ祭りの開催を間近に控えたある日のこと、ジェイソンとレイチェルの兄妹が営むワニ料理店で事件が起こる。ワニを飼っていた囲いが破れ、ワニが一匹残らず姿を消していたのだ。更に前日店でトラブルを起こした男が、何かに噛み千切られて死亡。保安官たちは逃げ出したワニによる犯行と決め付け、ジェイソンとレイチェルを厳しく追及した。だが事件が発生した晩、レイチェルは川べりで、一匹のサメらしき生物が囲いに接近するのを目撃していた。彼女はそれを証言するものの、「川にサメがいるはずない」と保安官に笑い飛ばされるだけだった。そこで彼女たちは魚類野生生物局のトミーの協力を得て、真犯人の捜索を開始した。するとその結果、とんでもない事実が判明する。メキシコ沖の深海に棲息する、新種のサメ。密輸業者の手によって捕獲されたそいつが、取引の現場から逃げ出して川に転落。以後、食物連鎖の頂点としてワニや人間を食い荒らしていたのだ。また取引には保安官も関わっており、隠蔽のためにサメの存在を頑なに否定し、ジェイソンたちを逮捕しようとしていた。そうと知ったレイチェルたちは、サメの退治に乗り出すが、時は既にワニ祭り当日。人の集まる会場を目指して、サメは猛スピードで移動していた…。

「U.M.A レイク・プラシッド3」のグリフ・ファースト監督によるサメ映画。本作の深海ザメは全身にヒビが入ったような醜悪な外見をしているが、それ以外に目立つ特徴は見られなかった。「フライング・ジョーズ」の邦題どおり水中からジャンプするカットが幾つかあるものの、ジャンプの高さといい距離といい常識の範囲内で、作品のウリにするには弱い。また「深海でも棲息できる頑丈さ」が作中で指摘されているにもかかわらず、水中銃でごく普通にダメージを受けており、頑丈さが全然アピールできていなかったのも辛いところ。襲撃シーンは地味な感じだし、急激な水圧変化にどう対処しているのか全然説明されないし、サメ自身の魅力は大して感じ取ることができなかった。脚本の方も、主人公たちが事件の真相にたどり着くまでの過程がすっ飛ばされており、あまり評価できたものではない。しかしこの映画、退治方法には驚かされた。それまでの襲撃シーンがあまりにも平凡だったところに、ガスボンベを噛ませて銃で撃つまんま「ジョーズ」の手段が出てきて、「ああ、この映画は退治方法まで平凡なんだなあ」と思ったところがどっこい。その作戦がアッサリ失敗し、次なる作戦として出てくるのが、サメ映画にしては珍しいかつ豪快なもの。それまでの地味なイメージを一気に吹き飛ばし、作品全体の印象をぐっと良いものにしていた。


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