馬小屋              「評価 C」

ニックは失恋した妹のエリンを励ますため、友人たちと湖畔のロッジでパーティーをすることにした。だがその晩、ロッジに謎の覆面男が襲撃。奴は麻酔銃を携行しており、1人また1人と眠らされていく。彼らが目を覚ますと、そこは農園の厩舎。手錠をかけられ、檻に閉じ込められていた。混乱する一同の前に、農園主ウェインと、その助手エドガーが現れた。何でもここは、捕獲した人間を調教し、性奴隷として顧客に売り飛ばす、恐怖の人身売買施設らしい。ニックたちは必死で抵抗を試みたものの、幾度とない徹底した責め苦を受け、程なくして精根尽き果て、廃人同然と化してしまった。抵抗する気力を失った友人は、木箱に詰められ出荷されていく。そんなある日、ある家族が道を尋ねるために農園を訪れた。娘が厩舎を覗いたため、たちまち一家は皆殺しにされる。しかしニックはこの娘に、檻の鍵を取ってもらっていた。彼は鉄格子を開けるとエドガーを撲殺し、エリンと共に厩舎を脱走した…。

ニューセレクト発「小屋」シリーズの第2弾となる、監禁サスペンス。ウェインたちによる調教には「SAW」シリーズからの濃厚な影響が窺え、頭を何本ものベルトで固定する器具や、半分首吊りのような状態に締め上げる金具といった、凝ったギミックが登場する。脚本も二転三転する展開がスリリングで、存分に楽しめた。しかし本作、要所要所で凡庸というか時代遅れ甚だしい演出が差し込まれ、猛烈に足を引っ張っていた。ハサミで舌を切られそうになった瞬間、画面が近くの木に移り変わって「ギャー」と叫び声が響く──なんてカット割り、もはやコメディぐらいでしか見られないほど陳腐化しているのに、それを平然と「恐怖演出」として使っているのだ。これでは戦慄を味わうどころか、むしろほのぼのとした気持ちが込み上げてくる。下手な小細工によってマヌケな感じを漂わせている、何とも締まらない作品だった。


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