フェイスは夫の暴力から逃れるため、アトランタの安アパートへと引っ越した。しかしすぐに夫は彼女の居場所を探り当て、近所を徘徊するように。もはや夫からは、一生逃れられないのか。そんな不安に苛まれる中、フェイスはローラという女性と知り合う。人里離れた農場で暮らしているローラは、フェイスの事情を聞くと、自分の家に来るように勧めてくれた。かくしてフェイスは渡りに舟と、喜んで農場に移り住むことにした。しかしこのローラという女性、次々と新しい男性を連れ込んできては、家で情交を繰り広げるとんでもない女性だった。フェイスは彼女の色欲に呆れていたが、どういうわけか男性が帰っていくところに出くわすことはなかった。気づいたら男性は姿を消しており、ローラは男性からの贈り物として、高価な物を受け取っていた。それが何度も繰り返されるので、いよいよ怪訝に思ったフェイスは、ローラの家を詳しく調べてみることにした。そして判明する、衝撃の事実。ローラは幼い頃から父親の性的虐待を受け、その影響で精神が歪み、偏執な殺人鬼に変わり果てていた。家に男を連れ込んでは、拷問し殺害し豚の餌にし、金品を奪い取っていたのである。それを知ったフェイスは、ローラの手によって監禁される。全身を拘束され視界を閉ざされ、ローラによる狂気の拷問が幕を開けた…。
パゾリーニの獣姦映画とは一切関係の無い、ニューセレクト発「小屋」シリーズの第一弾にあたる監禁サスペンス。前半はごく平凡なサイコサスペンスといった具合で進行するが、本作の肝はローラの正体が判明した以降にあった。フェイスが手錠をかけられた状態で川に沈められて意識を失った途端、それまでの比較的明るかった画面から一転、突然画面が暗くなり、視界が極端に制限された状態で進行する。通常であれば画面が暗すぎて何がなんだか分からない状態に陥ると、見たいものが見れない不満ばかり募るものだ。しかし本作の場合、暗くて状況が飲み込めない様子が、ちょうど麻酔を飲まされて目隠しをされた、フェイスの置かれた立場と合致していた。そのため彼女への感情移入が物凄く容易になされてしまい、並々ならない不安感がこみあげてくる。そんなところにローラの拷問が開始されるのだから、恰も自身が拷問を受けているような、この上なくおぞましい感覚を味わうことができたのだ。ペンチで抜歯でもされようものなら、流血で喉が詰まる息苦しい感覚に悶絶すること必至。しかしフェイスが拷問から逃げ出してからの展開が冗長気味で、せっかく味わった嫌な気分が冷め切ってしまうのは残念だった。