メガ・パイソン vs ギガント・ゲイター           「評価 C」

フロリダ州のエバーグレーズ公園。ここは多くの絶滅危惧種が住まう自然豊かな場所だった。だがある晩、ニッキー率いる環境保護団体が、個人宅で飼われていたパイソンを盗み出し、「自然に帰す」という名目で公園に放したから大変だ。たちまち公園の生態系は乱れ、天敵のいないパイソンは絶滅危惧種のワニを次々食らい、数を増やしていく。この事態を憂慮した公園保護官のテリーが、ハンターたちと共にパイソン狩りを始めたところ、ニッキー率いる環境保護団体は「パイソンを殺すな」と主張して執拗に狩りを妨害する。更にテリーの婚約者がパイソンに食われて死んだのを「パイソンを殺した報い」とまで言い出し、最早テリーの我慢も限界に達した。テリーは愛する者を奪ったパイソンを絶滅させるべく、成長促進のステロイド剤を含んだ餌をワニたちに与えた。すると時間の経過と共に、ワニたちは巨大化し、凶暴なギガント・ゲイターに変貌。これでパイソンを蹂躙していく──かに思われたが、ギガント・ゲイターの卵をパイソンが食らうことによって、パイソンにもステロイド剤の効果が及んでしまった。パイソンたちも巨大かつ凶暴なメガ・パイソンに変わり、穏やかだった公園は巨大爬虫類が跋扈するデンジャーゾーンと変わり果てた。やがてメガ・パイソンとギガント・ゲイターの大群は、周辺の都市部にまで進出し、人々をパニックに陥れる。テリーとニッキーは、この惨状の原因が各々にあることを胸の内にしまいながら、協力して事態の収拾にはかることにした…。

「ペット・セメタリー」シリーズのメアリー・ランバート監督によるモンスター・パニック。ニューセレクト配給の巨大ミミズ映画「メガ・パイソン」とは一切関係が無い。近年アルバトロスとその関連レーベルがリリースしている「メガ・シャーク vs ジャイアント・オクトパス」「メガ・シャーク vs クロコザウルス」「ダイナクロコ vs スーパーゲイター」といった「vs」作品はいずれも2大怪獣の激突がクライマックスに据えられているが、本作では巨大化する前のパイソンとワニの対決シーンこそあれど、メガ・パイソンとギガント・ゲイターの直接対決は描かれない。両者が協力して人類に牙を剥き、反目し合っていたテリーとニッキーの2大女傑がそれを迎え撃つという、一種のタッグバトルのような内容になっていた。しかし二者が協力しているとは言え、ギガント・ゲイターに比べるとメガ・パイソンの活躍は少なめ。ギガント・ゲイターは主人公の車を追い回したり、クライマックスで親子共演を果たしたりと見せ場が用意されているのに、メガ・パイソンは飛行船に噛み付いて吹っ飛んでいったり、力尽きて横たわって主人公たちの進路を妨害したりといった情けない役回りばかり。クライマックスでも存在感が薄く、ヘビ映画としてはあまり楽しむことができなかった。雑なカット割で戦闘シーンの状況が良く分からないのもマイナス。でもこの映画、B級であることに開き直ったような感じが端々から窺えて好感がもてた。特にテリーとニッキーの取っ組み合いのシーン、それとワニが巨大化するまでの過程をノリノリの音楽に乗せてモンタージュで流すシーンは逸品。テリーとニッキーが辿る結末も気が利いているし、なかなか楽しめる作品だ。


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