獣人ゴリラ男            「評価 C」

北米からカリブ海にかけて、アスリートばかりを狙った連続殺人事件が発生。被害者は皆、頭に大穴をあけられ、脳味噌がなくなっていた。そして今、メキシコでも同様の事件が発生し、ロブレス警部が捜査にあたることになった。彼は犯人を誘き寄せるため、親友でレスラー志望のギレルモを覆面レスラーとしてデビューさせ、華々しい活躍をさせた。すると案の定、真犯人の男がギレルモに目をつけた。彼は最強の生物を作ることに執着したマッドサイエンティストで、屈強な人間を連れ去っては、動物の脳味噌を移植する行為を繰り返していたのだ。そしてギレルモがメキシコ王者の座を狙う試合の日、彼は警察の目を掻い潜って、ギレルモを毒殺。まんまと死体を奪い去り、ゴリラの脳を移植することで、最強のゴリラ男を完成させた。早速力試しとして、覆面レスラーを襲って覆面を奪い、ゴリラ男に被せて試合に出場させる。ゴリラ男は期待通りの大暴れを見せるが、やがて歯止めが利かなくなり、覆面を破り捨てて暴走。制止に入ったマッドサイエンティストを殺害すると、町に躍り出た。ロブレスはゴリラ男がギレルモの顔をしていることに複雑な気持ちになりながら、警官隊を率いてゴリラ男を追跡する…。

ゴリラの脳を移植された男が人々を恐怖に陥れる、メキシコ産の怪奇映画。さすがメキシコなだけあってルチャ映画の要素が色濃く、作中ではレスリングの試合が幾度となく繰り広げられる。これがレスラー同士の格闘戦のみならず、柔道家との試合なんかも盛り込まれていて見応えがあり、なかなかゴリラ男が誕生しないのも相俟って、ともすればモンスター映画であることを忘れてしまうぐらいの勢いだった。
しかし肝心のゴリラ男については今ひとつな印象だ。「ゴリラの脳をレスラーに移植させるより、レスラーの脳をゴリラに移植させたほうが明らかに強いだろう」とは、誰もが思うところ。格闘経験のないゴリラの脳をレスラーに移植しても強くなるとは到底思えないし、ギレルモとしての記憶が皆無ではロブレスと対峙したところで悲劇性は薄く、さして魅力を感じることができなかった。


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