シャーク・アタック!!            「評価 C」
カリフォルニア沖の、トレーマー産業が所有する石油プラント。ここでは採掘を促進させるために、岩盤を脆くする薬品を海底に垂れ流していた。しかし強引な採掘は、思わぬ災難を呼んでしまった。岩盤の下で何百万年と眠り続けていた、凶暴かつ巨大な古代ザメ・メガロドン。そいつが現代に蘇り、プラントを跡形も無く破壊したのである。その後もメガロドンはカリフォルニア沖を我が物顔で荒らし回り、クルーザーを、潜水艦を、ビキニ美女たちを、次々と食らい尽くしていった。そんなある日、元海洋調査局員のキャスリーンは、船乗りのチャックと共にトレーマー産業の環境破壊を調査している最中、メガロドンに遭遇。そして偶然にも、奴が無線の発信源に誘引されていることを突き止めた。彼女たちは米軍と協力し、カリフォルニアのビーチでメガロドンを討伐することになった…。
「ビキニ航空」のフレッド・オーソン・レイ監督によるサメ映画。サメの襲撃よりも人間同士の戦いの方が見応えのあった、ボブ・ミシオロウスキー監督の「シャークアタック」とは当然無関係だ。映画の冒頭、巨大サメが砂浜をジャンプしながら襲来し、それを「太陽の牙ダグラム」のデザート・ガンナーみたいな四足戦車が迎撃する──なんて素晴らしすぎる映像が繰り出され、いきなりボルテージは最大限に引き上げられる。でも、本作のハイライトはここまで。その後はいかにもフレッド・オーソン・レイらしい、脱力感たっぷりのユルユルな世界が展開し、猛りに猛った興奮はあれよあれよという間に萎みこんでしまった。序盤のプラント壊滅シーンでサメの存在を明示したせいで、キャスリーンがプラント壊滅の原因を探る前半のストーリーは求心性が削がれて退屈そのもの。その合間に挿入されるサメの襲撃シーンも上出来とは言いがたい映像で、さして盛り上がることはできなかった。更に追い討ちをかけるように、映画の中盤で「ビキニ女王コンテスト」なんてものが開催され、ビキニ美女がステージで踊り狂う映像が延々と続くときては、心の底から腑抜けた気持ちになってしまった。もし冒頭で四足戦車が登場していなかったら、映画を観続ける気力すら危うかったところだ。そんなこんなで、いよいよ待望のクライマックスが訪れる。四足戦車が満を持して登場し、地を這うメガロドンに果敢に立ち向かった。四足戦車は砲弾のほか、足を上げてキックを食らわせるなんてトンデモ芸当まで披露して、メガロドンと互角の戦いを繰り広げる……と思いきや、どの攻撃もメガロドンに全然ダメージを与えられず、逆に横方向からの攻撃に弱いという弱点を突かれて呆気なく爆散。期待を煽るだけ煽っておいて、これは無い。ああ無情。B級映画ファンの心をくすぐっておきながら全力で肩透かしを食らわせてくるフレッド・オーソン・レイ監督に、すっかり打ちのめされてしまった。
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