エンド・オブ・ワールド 「評価 D」
ナポリのベスビオ山。かつてポンペイを滅ぼしたこの火山が、再び活発な動きを見せ始めた。そこで地元大学の要請により地質学者のハロルドが招かれ、調査にあたることに。その結果、ベスビオ山は噴火のおそれがないとの結論を出した。一方でハロルドは、大学で働いていたパトリシアと仲良くなり、2人でポンペイの遺跡へ出かけることにした。建造物の遺構を回りながら、パトリシアはポンペイが滅んだときの様子を語り始める。それは剣闘士ダリウスと、女奴隷ヘレンが、様々な困難を乗り越えながら、火砕流に飲み込まれるポンペイから脱出する物語だった。その後もハロルドとパトリシアは仲を深めていくが、やがて火山活動についての報告会の日が訪れた。この会議が終わったら、ハロルドはナポリを去ってしまう。パトリシアは別れる辛さのあまり会議を欠席するが、教授に説得され、自分の気持ちに素直になる決心を固めた…。
何ともヘンテコな映画だ。現代のナポリを舞台にしたラブストーリーに、ローマ時代の話を内包した構成になっている(ちなみにローマ時代のエピソードが上映時間の半分以上を占めている)のだが、この構成が大問題だった。ローマ時代のダリウスとヘレンが文字通り命がけの大恋愛をしている一方で、現代のハロルドとパトリシアは「恋に臆病になっている」という何とも軟弱な理由で結ばれるのを躊躇っており、格段に見劣りする。だのにローマ時代の話を内包した構成のため、クライマックスとして扱われるのは現代カップルの側。ポンペイが消滅して盛り上がった後に、何が悲しくて現代のカップルの色恋沙汰なんぞを見なければならないのか。取り立てて大きなイベントもなく、ただイチャイチャしているだけの恋愛劇を。そもそも2つのストーリーは関連性に乏しく、「沖縄怪談逆吊り幽霊・支那怪談死棺破り」さながらに2本の別々の映画を観たような感覚に陥ってしまう。何故こんな構成にしたのか、非常に謎な作品だった。
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