タイタニック2012 「評価 D」
タイタニック沈没から100年後の2012年。「過去の悲劇は乗り越えなければならない」という信念のもと、タイタニック2号が造られ、沈没した日に処女航海をすることとなった。船は外観こそ当時のタイタニックを再現しているが、レーダー等の航行システムは当然最新鋭。救命艇は十分な数が用意され、氷山を避ける航路を進み、万に一つも沈没するはずがないと思われた。ところが出航して間もなく、カナダ北部の氷河が大規模崩落を起こした。たちまち巨大な津波が発生し、氷山を押し流していく。タイタニック2号のクルーたちは慌てて回避行動に出るも間に合わず、敢え無く氷山と激突。タイタニック2号は損傷して沈み始め、乗客たちは次々と救命艇に乗り込んで脱出していった。そんな中、看護師のエイミーは、負傷した同僚を助けるため、元恋人の設計技師ヘイデンと一緒に船内に残っていた。するとそこに、沿岸警備隊をしている父親のメインから電話が入る。なんでも更なる巨大津波が接近しているらしく、救命艇に乗るのは危険らしい。そこでエイミーたちが船内の安全な場所に留まっていると、津波が襲来。タイタニック2号は上下がひっくり返った形となり、もはや沈没は目前となった。エイミーたちは海水に浸かりながら、メインが救助に来てくれるのを必死に待ち続ける…。
「メガ・シャークvsジャイアント・オクトパス」のデヴィッド・マイケル・ラット製作による海洋パニック映画。とにかく映像が貧しいの一言で、タイタニック2号の巨大さ、津波の迫力、沈没の壮大さといったものは何一つ伝わってこなかった。明らかに狭いセットで撮影しているから、甲板のシーンは登場人物のアップばかりで広がりがなく、船の豪華さは船室のパーティーで表現するという体たらく。氷山と激突する映像は「パイパニック」と遜色ないレベルだし、その後展開される「ポセイドン・アドベンチャー」モドキも画面が暗すぎて状況が伝わりにくく緊迫感に欠ける。脚本も脚本で、タイタニック2号を設計したヘイデンが「俺が殺した!」と悔やむのを繰り返すだけで、これといったロマンスも無ければカタルシスもない。こんな中途半端な出来になるのなら、いっそジャイアント・オクトパスでも登場させて開き直った方が遥かにいいのに、としみじみ思ってしまった。
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