人喰い怪物ゴブリン 「評価 D」
1831年10月31日。不作に悩まされていたホローグレンの村は、儀式と称して赤ん坊を炎の中に投げ込んだ。母親は目の前で我が子を焼かれたことで嘆き狂い、村人たちに「報いを受けろ」と呪詛の言葉を放った。すると炎の中から、醜悪な怪物ゴブリンが誕生。以後10月31日になると、ゴブリンが村に出現し、赤ん坊を奪い去っては、その魂を食らうようになったのである。さて現在、ニールたちペンキンス一家はそんなことは露知らず、古い知人から不動産の投資話を持ちかけられてホローグレンへとやってきた。娘のニッキーは生まれたばかりの弟ネイサンの子守にウンザリしていたが、好青年カイルと知り合ったことで、満更でもない様子だった。ところがその矢先、10月31日が訪れた。霊界よりゴブリンが出現し、事情を知らない余所者たちを惨殺しては、赤ん坊をさらっていった。やがてネイサンまでもが何者かに連れ去られ、ニールたちは動揺する。そんな中、ニッキーとカイルは村の歴史に詳しい老人から助言を得て、何とかネイサンを取り戻そうとするが…。
GPSにも出てこない田舎町を舞台としたバイオレンスホラー映画。「エイリアン・ゼロ」「巨大毒蟲の館」のジェフリー・スコット・ランドー監督作ということで、クオリティには全く期待していなかったが、やはりその通りの出来栄えだった。ゴブリンが出現してからは、森の中で追いかけっこをする安い展開が延々と続く。投資話も、村人の陰謀も、拍子抜けするぐらいにアッサリ解決し、ストーリーに色を添えるほどの広がりを見せなかった。ただ「エイリアン・ゼロ」等で見られた「映画冒頭でクライマックス場面の先見せ」が無くなったのは成長と言えるか。
また、ジェフリー・スコット・ランドー監督作と言えば、「エイリアン・ゼロ」における怪物のデザインのばらつき、「巨大毒蟲の館」における登場昆虫のマニアック具合など、モンスターに妙なこだわりが窺えるのが特徴だった。でも本作では残念ながら、特筆するほどの拘りを感じ取ることができなかった。出現時点のゴブリンがボロ布を纏っており、クライマックスで布が剥げて真の姿を露にする…というのが拘りと見ることもできるが、むしろ怪物態を隠し続けることでアクションが制限されるというデメリットが大きく、かえって怪物の魅力を減衰させていた。人間を襲う手段にもモンスターらしさは殆ど窺えず、「人喰い怪物」という邦題に反して実際に人を喰っている描写は皆無だ(一応、赤ん坊の魂を喰っているという設定らしいが)。映画全体が殺人鬼ホラーと大差ない感じになっており、何とも厳しい作品だった。
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