蛾人間モスマン            「評価 D」
ウエストバージニア州のポイント・プレザント。66〜67年にかけてこの町を恐怖に陥れた蛾人間モスマンが、現代に蘇った。事の発端は10年前、キャサリンたち若者グループが川でキャンプをしたことに始まる。川に入った彼女らはふざけて「モスマンに襲われる!」とお互いの足を引っ張り合っていたのだが、仲間の1人ジェイミーが不意に水中に引きずり込まれたことで溺死。キャサリンたちは自らの罪を隠すべく、「ジェイミーが自分で川にもぐり、頭を打って死んだ」と口裏を合わせることにした。そして現代、都会で新聞記者をしていたキャサリンは、上司からポイント・プレザントのモスマン祭りを取材するよう命じられ、久しぶりに地元に帰ってきた。デレクたち当時の仲間は彼女の帰郷を喜び、思い出話に華を咲かせる。しかし、その翌日から当時の仲間たちが次々と惨殺されていった。町中が戦慄する中、事件の犯人はキャサリンの前にも姿を現す。その正体とは、蛾人間モスマンだった。モスマンは虐殺された先住民族の怨念から生まれた出自から、殺された人間の憎しみを原動力としていた。キャサリンが戻り、町に当時のメンバーが集まったことで、ジェイミーの怨念が爆発。モスマンとなり、彼女たちに襲い掛かっていたのだ…。
「プロフェシー」で一躍有名になった未確認生物、蛾人間モスマン。目撃情報がポイント・プレザントに限定された、極めてローカルなモンスターを「キラー・マウンテン」「U.M.A.ライジング」のシェルドン・ウィルソン監督が果敢に映画化したのが本作だ。でも実在の町を舞台にしたことがネックとなり、どうにも引っかかる出来になっていた。架空の人物であるキャサリンたちが殺人を隠蔽するだけならまだしも、「66年当時の町長の息子が人身事故を隠蔽していた!」なんて、明らかに実在の人物がいるケースにまで妄想を膨らませているのはやり過ぎだろう。更には作中の住民に「この町は罪を隠蔽する体質だ!」とまで断言させており、あまりもの地元住民への配慮の無さには眩暈をおぼえてしまった。しかしこの映画、モスマンのデザインは上々だ。目撃者が書いた落書きを忠実に立体化したような、自然さの欠片もない容姿をしているのだが、それがかえって亡霊らしさを際立たせ、不気味さを醸し出していた。
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