TSUNAMI              「評価 D」
釜山市の港町ヘウンデは、巨大なビーチを有する一大観光地だった。この町の商店街組合長をしているマンシクは、一人で魚を捕って暮らしている少女ヨニに想いを寄せていた。彼女の父親とマンシクは、遠洋漁業の漁師として同じ船に乗っていた。しかしインドネシアの地震に伴う津波が船を直撃。辛うじてマンシクは助かったものの、ヨニの父親は彼を助けるために犠牲となった。そのことによる罪悪感から、マンシクはヨニに思いを打ち明けられずにいた。一方、町ではショッピングセンターの建設計画があがっていた。推進派の議員により家々の立ち退きが行われ、ヨニの家にも立ち退き要求がされるが、彼女はそれを頑なに拒み続けていた。すると業を煮やした議員は、例の漁船に乗っていた漁師を雇い、ヨニに「父親はマンシクのせいで死んだ」と教え込んだ。ヨニはひどく傷つき、マンシクが意を決してプロポーズしても拒絶し、町を出る決心を固めた。またその頃、対馬付近で大規模な海底地震が発生した。それを観測したキム博士は、巨大津波の到来を予見し、ただちにヘウンデの人々に避難命令を出すようにと政府に訴えた。ところがその時、ヘウンデは文化エキスポの真っ最中。政府は不確実な情報で開催を中止するわけにはいかないと、愚かにも彼の言うことに耳を傾けなかった。やがてヘウンデビーチから見える水平線上に、高さ50mはあろうかというメガ津波が現れた。ここにきてようやく政府は避難命令を出したが、時既に遅し。多くの人間が逃げ遅れ、津波に飲み込まれる大惨事となった。マンシクとヨニも避難することができず、必死で電柱にしがみついて、津波の濁流をやり過ごそうとした…。
メガ津波がタンカーから人間関係のもつれまで押し流す、コリアンディザスタームービー。港町で暮らすヨニ、地震を観測しているキム博士、そしてライフセイバーのヒョンシクの3つの視点から、災害を俯瞰的に描いている。それ自体は一向に構わないのだが、3つのドラマでクライマックスとして扱っているのが、「自己犠牲」という全く同じシチュエーションなのには参った。感動を誘うBGMが流れて、誰かが他の命を救うために死んでいく。それが終わったら別の場面に移行し、また感動を誘うBGMが流れて、誰かが他の命を救うために死んでいく。それが終わったら別の場面に移行し、また感動を誘うBGMが流れて、誰かが他の命を救うために──って、これはテレタビーズか! あまりにも似通った展開の3連発には、製作者の感動させようという意図とは裏腹に、笑いがこみ上げてしょうがなかった。ただでさえ3つのドラマを平行させて盛り上がりどころが分散しているのだから、もっと各ドラマの内容に変化をつけて欲しかったところだ。しかしこの映画、タンカーが爆発し、幾つものコンテナが吹っ飛んでビルの壁面に突き刺さる場面はすごく気に入った。
TOP PAGE