中国大地震 「評価 D」
1976年7月。中国唐山市では、数々の異常現象が発生していた。鳥たちが空を埋め尽くさんばかりの群れをなして飛び回り、川の魚たちは水面上に飛び跳ねる。地中からは高熱のガスが噴出し、川に浮かぶ小島は轟音と共に沈んでいく。地震観測所長の周海光は、これらを大地震の予兆と見なし、市民に避難勧告を出すようにと共産党幹部らに訴えた。しかし高官たちは、それを聞き入れてはくれなかった。以前地震が発生した海城市の状況と比べると、目立った地盤変化が観測されてないことから、事態を楽観視していたのだ。周海光は止むを得ず、独断で避難勧告を出そうとしたところ、幹部らにとがめられ、所長の座を解任されてしまった。だがその日の晩、唐山をマグニチュード7.8の大地震が襲った。町は崩壊し、周海光の恋人・文燕をはじめ、多くの市民が瓦礫の下敷きとなった…。
実際に起きた大地震を題材にした、チャイニーズパニック映画。中国共産党の宣伝映画的な色合いが極めて濃く、救援に来る部隊や空から支援物資が投下される様子なんかは、当時の共産党プロパガンダ映像が流用されている。また救援活動を行う解放軍の皆さんは何かにつけて「毛主席万歳!」と連呼する一方で、共産党幹部の娘と恋に落ちた右派の青年は悲劇的な結末を迎えてしまう。文革当時の雰囲気がよく再現されているといえばそうなのだが、おかげで作中に展開される、本来普遍的なはずのヒューマニズム要素が随分と浮ついたものに感じられた。また地震発生時の映像は、ミニチュア撮影に人物を合成したものだった。しかし合成技術が未熟で人物が完全に浮いており、作り物感がありありなのはいただけない。前半部分で繰り広げられるベタベタのメロドラマが面白いといえば面白いのだが、パニック映画としては到底評価できない作品だ。
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