アルティメット・プレデター           「評価 B」
ケイトは昔の友人たちと共に、キャンピングカーに乗ってアイルランド旅行に出発した。しかしトイレを借りるために古道具屋に立ち寄った際、誤ってジプシーの老婆をはね飛ばしてしまった。老婆は血まみれになって横たわり、「シムロックの呪いにかかるがいい!」と呪詛を発して息絶えた。思わぬハプニングに顔面蒼白となったケイトたちは、大慌てで車を発進させ、その場から逃げ去った。目的地の町に向かおうとしたが、程なくして道路が霧に閉ざされ、現在地が分からなくなる。それでも車を進め、ようやく霧が晴れてきたと思った矢先、上空からヤツが出現した。「アラビアンナイト」に出てくる怪鳥シムロック。この巨大な化け物が、呪われし若者たちを1人また1人と攫っていったのだ。更に殺されたジプシーの仲間たちまでもが、復讐を果たさんと矢継ぎ早に襲い掛かってくる。窮地に陥ったケイトたちは、古道具屋で入手したシムロック除けのお守りを頼りに、反撃を試みるが…。
固い絆で結ばれたジプシーたちが、轢き逃げ犯どもに制裁を加えるモンスターパニック映画。シムロックはハゲワシを巨大にしたような平凡な風貌で、攻撃手段も上空に持ち上げて落とすだけという、実に単純なもの。VFXこそ美麗ではあるが、あまりモンスターとしての魅力があるとは言い難かった。むしろ本作で輝きを放っていたのは、仲間の敵討ちに燃えるジプシーたちだ。異常なまでの執念でケイトたちを追い詰め、磔にしてシムロックの餌にしようとする姿は、まさに恐怖そのもの。警官がやってきて一安心と思いきや、実はその警官もジプシーの仲間だった──なんて希望をちらつかせて踏みにじる展開も嫌らしく、モンスターの凡庸さを跳ね除けるほどのスリルをもたらしてくれた。
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