ハイブリッド             「評価 B」
ティルダの働く自動車整備工場に、一台の車が運び込まれた。交通事故の現場に残されていたが、持ち主は不明。外見も奇妙で、似た車種はあるものの細部が異なっており、まるで他の車を別の車そっくりに改造したような風体だった。そして車が持ち込まれた日、1人の作業員が忽然と姿を消した。ティルダが同僚たちと共に彼を探していると、とんでもない場面に出くわした。例の車に乗った同僚が、車内に出現した無数の触手に締め潰され、文字通り「食われて」しまったのである。実はこの車、謎の触手モンスターが擬態した姿だった。ヤツは目に付いた車にトランスフォームすることで、人間の油断を誘い、捕食していたのだ。ティルダたちはこの奇天烈な怪物から命を守るべく、団結して立ち向かうことにした…。
「ザ・カー」や「地獄のデビルトラック」を一段と荒唐無稽にした感じのモンスター映画。車映画なのに公道を走る場面がろくに存在しない、狭い整備工場に舞台を限定した低予算映画だが、“モンスターが車に擬態する”というアイディアが、それを補って余りある魅力を本作にもたらしていた。幾つもの車種が置かれている工場内で次々と擬態対象を変えることで、多彩な車に見せ場を与えている上、どれに擬態しているか分からないサスペンス要素も加味され、ストーリーを否が応にも盛り上げていたのである。退治方法が一筋縄ではいかず、一捻りしてあったのも良いところ。シンプルな内容ながら、アイディア次第で楽しませてくれる快作だった。
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