アストロ・ゾンビーズ クローン人間の復讐 「評価 B」
34年前、デマルコ博士は死体のパーツを寄せ集め、殺人兵器アストロ・ゾンビを作製。人々を恐怖に陥れたが、最後はCIAの活躍によって、デマルコ博士もアストロ・ゾンビも倒れ、事件は無事解決したかに思われた。ところが現在になって、ヤツは再び現れた。地球征服を企む極悪宇宙人ジーキスが、入手したアストロ・ゾンビからクローンを製造。量産したアストロ・ゾンビーズ軍団を、アメリカの町という町に送り込んできたのだ! ナタを振り回すアストロ・ゾンビーズにより、成す術もなくやられていく人間たち。アメリカ政府は大至急、科学者たちを集めて対策を協議しようとしたが、優秀な科学者たちは皆アストロ・ゾンビーズに誘拐され、手の施しようの無い状況に。でも捨てる神あれば拾う神ありで、善良な宇宙人ASTP-73がジーキスの侵略行為に気づき、アメリカ政府に協力を申し出てきた…。
一方、34年前にアストロ・ゾンビに殺された女スパイのサタナには、容姿がそっくりな姉のマルヴィラがいた。マルヴィラはこの騒動に乗じて、人間をアストロ・ゾンビそっくりに扮装させて、アストロ・ゾンビとして世界各国の金持ちに売りつけることを思いついた。金持ちたちはアストロ・ゾンビの存在が広く知れ渡っていることもあり、それが単なる人間であるとも知らず、競うように売買契約を結んでいった。またマルヴィラは、アストロ・ゾンビについての情報を集めるべく、TVリポーターのシンディと、その恋人のFBI捜査官ランカスターを誘拐。2人から情報を聞き出そうとしたが、政府ですらろくな情報を把握できてないのに、2人が有益な情報を持っているはずもなく、マルヴィラは失望するばかりだった。しかもランカスターは発信機を身につけており、同僚の捜査官がマルヴィラのアジトに乗り込んできたではないか。マルヴィラはアストロ・ゾンビもどきと共に、捜査官を返り討ちにしようとするが…。
「ミミズ・バーガー」「人間ミンチ」と並ぶテッド・V・マイクルズ監督の代表作、「アストロ・ゾンビーズ」の34年ぶりの続編。前作については「ゾンビーズ 生ける屍の群れ」でダイジェストを見たことしかないが、アストロ・ゾンビが甲高いサイレン音を鳴らしながら人を襲うシュールな光景がすごく印象に残っていた。きっと本作のアストロ・ゾンビもサイレンを鳴らしながら人間を虐殺するんだろうなあ──と楽しみにしてたらどっこい、本作ではサイレンが鳴らなかった! 代わりに本作のアストロ・ゾンビーズは、ゴアゴアかつハイテンションなサウンドをバックに殺戮を行う。これはこれで悪くないが、やっぱり有名なサイレン音を聴くことができなかったのは大いにガッカリさせられた。また殺害シーンは山ほど出てくるがいずれも「ミミズ・バーガー」「人間ミンチ」レベルのグロさはないし、どこをどう見ても映画の質は決して高いとは言えない。でもこの映画、作っている側のノリノリ具合が伝わってきて、観ている側まで楽しくなってくるのは良かった。メイクやセットはモロに60年代のクオリティだし、ホワイトハウスのくせに会議室が異様に狭いのを「いい部屋が用意できなかった」という台詞で流してしまうテキトー加減も最高。そしてグダグダな展開の末、唐突に善良な宇宙人が出てきて事態を解決してくれるご都合主義もたまらなかった。サイレンが鳴らないのは残念だが、テッド・V・マイクルズ監督の持ち味は嫌というほど味わえる作品だった。
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