人間ミンチ2 「評価 C」
はるか昔、アトランティスの民は地球を脱出し、数光年の彼方にある惑星シータへと移住した。だが現在、シータは隣の星トラクシスから侵略戦争を受け、壊滅寸前に陥っていた。そこでシータの王ボラードは、母星を捨て、祖先が暮らしていたという地球に移住することを決断。多くの民が移住するには食料が必要なので、ボラードたち星の代表3名は、下調べも兼ねた食料調達のため、地球に向けて出発した。一方地球では、現代っ子のランドーとマルビーが、叔父の遺した工場設備とキャットフードのレシピを使って事業を立ち上げた。ロータス社の人肉キャットフード工場、約30年ぶりの営業再開である。ホームレスを雇って人件費をカット。墓場や葬儀社から死体を調達して原材料費をカット。更に今回は、キャットフード作りの際に副産物として生じる絞り汁を洗剤として売り出すことで、廃棄物の処分費用をカット。そしてプルトップ缶を採用し、缶切りを使う手間までカットした。現代的経営戦略で考え抜かれた人肉キャットフードはスーパーでも大々的に売り出され、多くの愛猫家が購入し、ネコちゃんたちに食べさせるようになった。人肉の味を覚えたネコが人間に襲い掛かる事例もあったが、たかがネコごときに人間が殺されるはずもなく、大きなトラブルには至らなかった。これでロータス社も順風満帆──と思いきや、現代社会の新たなる敵・消費生活センターが立ちはだかった。キャットフードの成分が、ラベルに表示してある原材料と明らかに異なっている。そこに目をつけた政府の男が、工場に乗り込んできたのである。しかし彼はあっさりミンチにされ、行方不明ということで処理された。かくして秘密は守られ、ロータス社の株価は上昇する一方だ。とそんな時、ランドーとマルビーにビッグビジネスが転がり込んでくる。シータ星からやってきたボラードたちが人肉キャットフードを気に入り、400ケースもの大量発注をしてきたのだ。2人は大喜びするが、問題は原材料の確保だ。今までのように墓守や葬儀社を頼りにしていては、とてもじゃないが納期に間に合わない。そこで彼らはホームレスを雇い、生きている人間を誘拐させることにした…。
前作から28年ぶりに製作された、「人間ミンチ」の続編。本作は序盤の会話から、前作から数十年後の話ということが示唆される。しかし工場を経営するランドーとマルビーを始め、病院のハワードとアンジーなど、主要な登場人物のほとんどが前作と同名であることからも分かるように、セルフリメイクにしてセルフパロディ的な側面が強い内容だった。まず映画の冒頭、人間を肉挽きマシンに入れるシーンの直後、いきなり宇宙の彼方のシータ星の話に移り変わって仰天させられる。そして在り物の映像とショボさ抜群なCGで彩られたチープ度マキシマムなスペースオペラを見せられた後、やっと地球の話に戻ってきて一安心。その後は工場を立ち上げて墓から死体を集めて──と前作と変わらない話が展開するかと思えば、ネコが人間を襲う事件が非常に軽く流されたり、ハワードとアンジーがキャットフードの真相にたどり着かなかったりと、徐々に前作のif要素が膨らんでいき、挙句に前作とは正反対の結末を迎えてしまうのだ。ゲス人間が裁かれることの無いラストは決して気持ちのいいものではないが、前作と見比べると結構楽しめる内容だった。
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