人間ミンチ           「評価 C」
ランドーとマルビーが経営するロータス社のキャットフード工場は、赤字知らずの大盛況。ここには利益をあげるための、3つの秘密があった。障害者を雇って人件費をカット。下請けへの支払いをごまかして委託料をカット。そして墓場から掘り出した人間の死体をミンチにすることで、原料費を大幅にカットしていたのだ。こうして作られたロータス社の人肉キャットフードは、ネコちゃんたちも舌鼓をうつ評判で大ヒット。ランドーとマルビーは儲かって儲かってしょうがなく、毎日がウハウハでニッコニコだった。しかし町では、愛猫家たちがペットのネコに襲われる事件が続発。キャットフードで人肉の味を覚えたネコちゃんたちが、飼い主を食料と見なして攻撃してきたのだ。病院には血まみれの飼い主が続々と運び込まれ、ハワード医師の懸命な治療も空しく、大勢が命を落としていった。ハワードは失意の中、ネコが人間を襲い始めた原因を突き止めようと決意し、看護婦アンジーと共に調査を開始した。その結果、2人はロータス社の缶詰工場にたどり着く。だがその頃、缶詰工場は以前にも増してデンジャラスな状況になっていた。ランドーとマルビーは、死体を仕入れてくれる墓守への支払いを渋り続けた結果、材料の供給がストップした。そこで代わりの材料として、工場で働いている障害者たちを生きたままミンチに。更に工場にとって不利益な人間を次々とミンチにし、最早2人の暴走は歯止めがきかなくなっていたのだ。そんな場所に乗り込んだものだから、ハワードとアンジーは命を狙われる羽目になってしまう…。
「ミミズ・バーガー」のテッド・V・マイクルズ監督による不条理ホラー。人間が肉挽きマシンに入れられてミンチにされる場面が何度も出てくるわけだが、肝心の肉挽きマシンの中身が画面に出てこないのが何よりもの不満だった。人間がマシンに入った後は、穴からモリモリ出てくるミンチを長写しにされるだけで、始めはエグい印象をもっても、2回も見せられるとすっかり慣れてしまい、むしろ単調な演出が鼻についてくる。「ミミズ・バーガー」も同じことを繰り返す単調な内容であったが、アチラは肝心の「人間がミミズをくちゃくちゃ咀嚼する光景」をアップで見せてくれる余計なサービス精神があったので、最後までマンネリを感じさせない限界突破のゲロゲロ気分を味わうことができたのだ。それに比べると本作は、大きく劣ると言わざるを得なかった。
メインの人間ミンチがこの有様では、他の要素も期待できるはずがない。ネコが人間を襲うシーンは血糊を塗っただけの安い代物だし、サスペンス要素も起伏に乏しい展開で面白みに欠ける。と言うかなんでハワードたちは警察に頼らず、自分たちで事件を捜査したんだろうか。事件が続発して怪我人が増えているのに、医師の仕事はどうしたんだ? といった疑問もあり、あまり楽しむことができなかった。ただこの映画、一点だけ評価できるシーンがあった。人間を襲った理由を調べるための、ネコの解剖シーンだ。ネコの内臓をモロに写しており、吐き気を催すこと必至の凄まじい映像からは、テッド・V・マイクルズ監督の要らないサービス精神を存分に感じ取ることができた。
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