戦慄!プルトニウム人間 「評価 B」
アメリカの砂漠地帯で、軍によるプルトニウム爆弾の実験が行われていた。爆心地付近の塹壕では、マニング中佐率いる一小隊が身を潜め、爆破の瞬間を待ち続けている。とその時、彼らの側に一機のセスナが墜落した。中には生存者がいるかもしれない。そこでマニング中佐は危険を顧みず、塹壕を出て飛行機へと向かった。しかし直後、プルトニウム爆弾は爆発。マニングは一瞬で全身が焼け爛れ、見るも無残な有様に。ところが奇跡的に、彼は一命を取りとめた。それどころか全身の皮膚が一晩で再生し、軍の医療関係者たちは驚きながらも、彼の回復を喜んだ。これで終わればめでたい話だが、そうは問屋がおろさない。皮膚が再生した後も、マニングの細胞は増殖を続けた。そして数日後には、全長60フィートを超える巨人になってしまった。放射能の影響で骨髄に異変をきたし、成長を促進するホルモンを異常なほど分泌するようになったのだ。一方で心臓だけは巨大化する速度が遅く、全長が大きくなるにつれ、マニングは心臓の発作に苦しむようになった。発作が起これば、それを堪えるために暴れ狂い、周囲に被害をもたらす。ある日マニングは、発作に耐え切れずに軍の施設を脱走。ラスベガスの町を恐怖に陥れた…。
巨大モンスター映画界の御本尊、バート・I・ゴードン監督のデビュー作。先に見た続編の「巨人獣 プルトニウム人間の逆襲」で本作のダイジェストが流れたので、大まかな内容については既に知っていたものの、改めてオリジナルを見てみると、プルトニウム人間の破壊描写が想像以上に少ないことに驚かされた。本作においてマニングは、巨大化してもなかなか暴れ出す気配がない。病室や野原で婚約者のキャロルに愚痴をぶちまけ、それをキャロルがなぐさめ続ける展開が延々と続く。映画の後半でラスベガスに繰り出し、いよいよ破壊活動をするかと思えば、彼は全く人を襲わず、ミニチュア同然の町や人を無邪気に眺めながら闊歩するばかりだった。そして最初に人を殺すのが映画の終盤、「巨人獣」でも印象的だった巨大注射器のくだりで、ここでマニングは自分が攻撃されたと誤解し、正当防衛のために軍医を殺害する。つまり本作の段階では、マニングはモンスターからはほど遠い存在だったのだ。本作で描かれているのはあくまで普通の人間が巨大化したことによる悲劇であり、人を殺すのにためらいがなくなった続編「巨人獣」とは、また違った味わいがあった。
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