2048 「評価 B」
2048年。異常気象により海面が急上昇し、陸地の9割が水没した未来。ジャックとトーマスの兄弟は、サルベージ屋のジョンに育てられ、彼の仕事を手伝っていた。彼らはある日、バチカンの依頼で一本の杖を探すことになる。その杖とは、かつてモーゼが手にしていたという、水の量を自在に操るソベクの杖だ。伝説が正しければ、その杖の力によって地球の海面を低下させられるかもしれない。そうバチカンは踏んでいたのだ。しかし一方で、海上都市を建設しているフィリミノフもまた、ソベクの杖を狙っていた。彼は海面を上昇させ、海上都市の居有権を高値で売りさばいた後で、海面を下げて安く買い叩いた土地を高値で売ることで、巨万の富を築こうとしていた。両者の財宝の争奪戦は熾烈を極めたが、やがてジョンが命を落とし、ソベクの杖はフィリミノフの手に渡ってしまう。ジャックとトーマスは育ての親の遺志を引き継ぎ、ソベクの杖を奪還しようと動き出した…。
「グランド・クロス」のジーン・デ・セゴンザック監督による海洋アドベンチャー。「陸地が水没した未来」という舞台設定ではあるが、残された陸地で人々は普通に生活しており、特に困っている様子がない。たとえ「年々水位が上昇している」と台詞で説明されていても、一般民衆の姿からは危機感がまるで見えてこず、「水没を止める」という主人公たちの動機付けが弱いように感じられた。しかし映画の中盤、地球水没を止めるカギである杖が、まさかのモーゼの杖だということが明かされ、このブッ飛んだ伝奇要素で一気に引き込まれてしまった。仕掛けだらけの遺跡の探検に、太古の人間が残した暗号の解読と、冒険モノのツボも一通り押さえているし、手堅く楽しませてくれる作品だ。
TOP PAGE