悪魔の狂暴パニック 「評価 B」
郊外の一軒家で、若者たちによるパーティーが行われていた。写真家フラニーは若い女をはべらせて良いムードになっていたが、急にカツラがずり落ち、ハゲが露見すると、家の外に逃げ出した。友人たちは彼を探すため、3名を残して家の外へ。その直後、フラニーは家に戻ってきた。しかしその目は狂気を宿しており、3人を瞬く間に惨殺。戻ってきたジェリーにも襲い掛かったが、道路でジェリーと揉み合いになっているところにトラックが突っ込み、フラニーは死亡した。トラックの運転手は、ジェリーがフラニーを突き飛ばしたものと誤認し、ジェリーに発砲する。ジェリーは慌てて逃走したものの、駆けつけた警察によって3人を殺害した容疑もつけられ、彼は凶悪犯として追われる身となってしまった。ジェリーは己の無実を晴らすべく、恋人アリーシャと協力して、フラニーが狂った原因を突き止めることを決意した。まず目に付いたのが、警官ジョン・オマリーが、妻子と隣人を殺害して自殺したという新聞記事だった。ジョンはフラニーと同様に、頭髪が抜け落ちていたらしい。犯行現場に忍び込んだジェリーは、ペットのオウムが「ブルー・サンシャイン」という謎の言葉を発しているのを耳にした。次いでフラニーの店に入ったジェリーは、議員候補のエド・フレミングの写真を目にする。彼の写真には、「ブルー・サンシャイン」という題がつけられていた。これには何かあると感じたジェリーは、選挙を控えて遊説中のエドに会ってみることに。どうやらエドとフラニーは10年前にスタンフォード大学を卒業した同級生らしいが、付き人のウェインに邪魔され、それ以上のことは聞き出すことができなかった。とその時、ジェリーは少し前のことを思い出した。トラック運転手に撃たれた怪我を治療した際、担当した外科医ブルームの自室にも、同年のスタンフォード大学卒業証書が飾られていた。早速病院に行き、ブルームからエドについて聞き出す。すると彼の口から、驚愕の事実が明らかになった。エドは在学中、ブルー・サンシャインというLSDの一種を独自に開発し、フラニーやジョンといった同級生たちに販売していたというのだ。それが今になって副作用を発揮し、脱毛して殺人狂に変えているのかもしれない。そう推測したジェリーは、エドの元妻ウェンディに会い、詳しい証言を聞きだそうとした。だが彼女もまた10年前にブルー・サンシャインを服用しており、頭髪が抜け落ちた上に発狂し、ベビーシッター先の子どもたちを殺そうとした。その現場に遭遇したジェリーは、彼女を止めようとして揉み合いになった挙句、ウェンディがマンションのベランダから転落死するという、悲惨な結末を招いてしまった。かくして更なる殺人容疑が加わったジェリー。しかしウェンディに会ったことで、彼は自らの推論を確信に変えた。全ての原因はエドのブルー・サンシャインにあった。そこでエドを取り押さえようと、ショッピングセンターの演説会場に向かった。ところがその頃、ショッピングセンター内のディスコでは、付き人のウェインが発狂して暴れ回っていた。彼もまた、エドの同級生。ブルー・サンシャインを日常的に服用し、暴れ狂うモンスターと化していたのである…。
「スクワーム」のジェフ・リーバーマン監督による、ドラッグを題材にしたサスペンス映画。さすがは「スクワーム」の監督なだけはあり、ハゲになった人間が眼球を剥き出しにして発狂し、人間を暖炉に押し込んだり包丁を振り回したりする様は、なかなかの視覚的インパクトがあった。冒頭で数珠繋ぎ的に映し出された登場人物たちが、ストーリーの進行にともない役割が明らかにされていく構成もセンスが感じられる。ただ一方で、「逃亡者」的な要素を持っていながら、主人公ジェリーに警察に追われている自覚がまるでないのは気になった。街中で堂々と素顔を晒して徘徊しており、むしろ要所要所でジェリーに接近する恋人アリーシャや医師ブルームの方が、サングラスをかけ、よっぽど人目を警戒していたのには笑ってしまった。
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