オレだって侵略者だぜ!!(別題:ギャラクシー・インベーダー)   「評価 B」
一見のどかな田舎町ハリービルには、デンジャラス&バイオレンスなアル中親父・ジョーが住んでいた。金と性欲のためなら人殺しすらも厭わない、反抗する娘にはライフル銃で追い回して教育する、実にクレイジーな親父だ。そんな親父はある日、いつものようにライフル銃で娘のキャロルを教育していたところ、全身緑色のストレンジな野郎と遭遇。地球侵略のためにやってきた宇宙人だ。敵意を向ける人間は容赦なく殺害する非情なヤツだが、ジョーに見つかったのが運の尽き。即刻ライフルの銃弾を浴びせられ、泡を食って逃げ出していった。その際、宇宙人は光る玉を落としていった。これは金目の物に違いない、と睨んだジョーは、嬉々としてそれを持ち帰り、悪友のフランクに見せびらかした。すると話を聞いたフランクは、「そんな玉よりも宇宙人を生け捕りにした方が金になるぜ」とジョーに提案。すぐさま町の荒くれどもが集められ、宇宙人狩りが実施された。密かに玉を奪い返していた宇宙人は、玉のエネルギーを使って光線銃を作動させ、迫り来る荒くれどもに反撃していく。だが多勢に無勢、哀れ宇宙人は生け捕りにされ、ジョーの家のガレージに閉じ込められた。その一部始終を見ていたのが、キャロルの友人デイビッドと、その恩師であるUFOマニア・トレイシーだ。2人は宇宙人が売り飛ばされそうになっているのを哀れみ、ガレージに侵入してヤツを解放した。怒り狂ったジョーは、奪い取った玉と光線銃を携えて追跡。トレイシーを射殺し、デイビッドも手にかけようとしたが、すんでのところで彼は逃げ出した。怒りが収まらないジョーは、知り合いの女をレイプしようとし、逃げられたところを射殺する。最早ジョーの暴走は留まるところを知らなかった。そこでジョーの家族やデイビッドたちは事態に収拾をつけるため、彼が寝ているところに忍び込み、玉と光線銃を奪い取った。やがて目を覚ましたジョーはブチ切れ、ライフル銃を持って家族を追い回す。途中で宇宙人と遭遇したが、即射殺。ジョーは家族を追い続けた。そしていよいよ崖の上に追い詰めたものの、怒った妻が反撃に出て、ジョーを崖から突き落とした。かくして恐ろしいモンスター、ジョーによる惨劇は幕を閉じたのだ…。
アル中親父が家族や侵略者を振り回す、「魔獣星人ナイトビースト」のドン・ドーラー監督の代表作。「魔獣星人ナイトビースト」はロークオリティながらも、怪物の造形やスプラッター描写など要所要所に光るところがあり、またセックスやバイオレンスをふんだんに取り入れ、観客を楽しませようとする心意気が感じられた。ところが本作は「魔獣星人ナイトビースト」より後年に作られているというのに、それすらないのだ。宇宙人の造形は隈取りされた顔がマヌケな感じを漂わせているし、お色気要素もレイプ未遂ぐらいしかない。あるのはただ、アル中親父が巻き起こすグダグダな騒動ばかり。そこにドン・ドーラー監督流の平坦な演出と腑抜けたBGMが奇跡の融合を果たしたことで、ダウナーな空気だけで完全統一された、何とも異様すぎる内容となっていたのである。観ている端から全身の力が抜けていく、あまりにも恐ろしい作品だった。
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