ツイスター2010           「評価 B」
ミネソタ州のコットンウッド郡。ウィルソン牧場に暮らす幼い姉妹リズとエリーは、仲睦まじく幸せな日々を過ごしていた。ところがある日、牧場に竜巻が襲来。家は壊れ、母親は死に、2人の幸せは一瞬にして奪い去られた。それから25年後、リズは気象学者となり、新しい気象予測システムを考案して大きな功績を挙げた。更に同僚のマットとの間にベッキーという娘まで設け、幸せの絶頂にいたのだが、ある日を境に彼女は気象学会の第一線から退き、マットとも別れてしまう。何故ならリズは、実家に残っている父親とエリーのことが心配でならなかった。2人ともあの日のショックから未だに立ち直ることができず、エリーに至っては自閉症に陥り、他人と会話することができなくなっていた。そのためリズは地位も名誉も捨て、娘ベッキーと共にたびたび実家を訪れては、2人の面倒を見ることにしたのである。そんなある日、リズはミネソタ大学で開催される気象学会に司会として参加することになり、娘のベッキーを実家に預けて会場へと向かった。するとそこには、別れた夫のマットがいた。彼はリズが考案したシステムの実用化を目指し、日夜奮闘していた。学会が終わり、マットはリズに復縁を申し出る。だがリズは父や妹を思うがあまり、その言葉に応じることができずにいた。一方その頃、フロリダから北上していた2つの嵐がミネソタで合流し、巨大な竜巻となって猛威を振るおうとしていた。それを聞いたマットとリズがシステムを作動させたところ、驚くべき情報が入ってくる。竜巻の出現位置は、ウィルソン牧場の近く。25年前の悲劇が、再び繰り返されようとしていたのだ…。
「PANDEMIC 感染惑星」のアンドリュー・C・エリン監督による竜巻映画。竜巻による破壊シーンは最小限に留められており、それよりも竜巻と関わり続けてきた家族の人間模様に大きな比重が置かれていた。竜巻によって深い傷を受けた家族が、再び訪れた災厄にどう向き合うのか。丁寧な人物描写が光り、何とも心温まる内容となっていた。
ただ本作、リズとマットの努力の結晶である気象予測システムが、作中の災害に対して何の役にも立っていないのは腰砕けだった。竜巻が実家を襲うのを最初に察知したのはお手伝いさんだし、リズたちが実家に駆けつけた時には、既にエリーがベッキーを保護していた。エリーの活躍を際立たせるためには仕方なかったとも言えるが、もう少し気象予測システムに花を持たせてやってもよかったのでは……と思ってしまった。
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