パニック・スカイ 「評価 A」
小型飛行機が墜落事故を起こし、パイロットの女性を始め、乗っていた人間の殆どが死亡するという痛ましい惨劇が起こった。それから10年後、死んだパイロットの娘であるサラは、父に秘密で航空機の免許をとり、友人のサルとメル、従兄弟のコリー、そして新しい恋人ブルースと一緒に、レンタルしたセスナ機で初フライトに臨んだ。コンサート会場までの数時間のフライトのはずだったが、途中で乱気流に巻き込まれてからというもの、セスナ機は思いも寄らぬトラブルが続発。昇降舵が停止し、機体は延々と上昇する。コースを逸れたことで燃料が足りなくなる。高度が上がった上に暖房が使えないので、機内の温度は見る見るうちに低下していく。更に尾翼が着氷し、機体のバランスが大きく崩れた。こんな踏んだり蹴ったりの状況を打破するべく、コリーは命綱を巻いて機体の外に出て、昇降舵に衝撃を与えて動かすという危険なミッションに挑んだ。強烈な風に全身を煽られながら、何度も昇降舵を蹴り飛ばす。結果、昇降舵は動き出し、無事に機体は下降できる状態になった。歓喜に沸くサラたち。だがその瞬間、コリーは上空から延びてきた触手にさらわれた。一難さってまた一難、無数の触手を持つモンスターが機体の周囲を飛び回っているではないか。サラたちはパニックになりながらも、地上をめざして機体を下降させる。そんな中、ブルースはあることに気づいた。これまでの災難は全て、自分の持っているコミック本と同じ展開であることに…。
セスナ機という密室で巻き起こる異常現象を描いたジェットコースタームービー。DVDのパッケージから、飛行機が未知のモンスターに襲われる「フライト・トゥ・ヘル」系統の作品だろうと思っていたら、とてもそんな枠には収まりきらない内容だった。まず前半部分は、大して楽しむことができなかった。次々と巻き起こるトラブルに「おいおい、『エアポート』シリーズでもここまではしないぞ」と笑う一方、退屈な会話とメンタルの弱い登場人物たちの行動に辟易させられた。しかしブルースが今の状況に気づいた瞬間から、映画は怒涛の展開を見せ、私は一気に魅了されてしまった。それまで鬱陶しく感じていた会話にも無数の伏線が散りばめられており、全てがラストシーンに向けて収束していく様はまさに圧巻の一言だ。単なるモンスターパニック然としたパッケージからは想像もつかない、思いも寄らぬ掘り出し物だった。
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