アフター・クライシス           「評価 D」
ロンドンの市街地で、テロリストが仕掛けたと思しき核爆弾が発見された。事態を重く見た政府は各大臣に対し、ロンドン郊外の各地に存在する地下核シェルター“SNUB”に避難するように通達を出した。その後、爆弾処理班による起爆装置の解体が行われたが、彼らの健闘空しく核爆弾は爆発。ロンドンは瞬く間に焼け野原と化した。スウィーニー大尉が責任者を務める核シェルターでは、傲慢なチェイス大臣をはじめ、数名の政府関係者が避難していた。無線機で外部と連絡をとって救助を待つところだが、どういうわけか無線機が作動しない。どうやら外のアンテナが爆発の衝撃で異変を来たしてしまったらしい。そこで3名の兵士が外に出て修理を行おうとしたものの、外に出て間もなく、悲鳴が響き渡り、彼らとの連絡は途絶えた。外には何かがいる。一同は戦慄し、外部からの侵入を許さぬようシェルターの扉を固く閉ざした。その直後、空気清浄システムに異変が発生。何かの死体がフィルターに詰まり、酸素の供給が断たれたのだ。誰かが外に出て死体を取り除かなければならないが、兵士はすでにいない。チェイスは自分の命惜しさに、決して外に出ようとしない。そこで彼の妻マーシャは、そんな彼に愛想を尽かし、自分が行くと言い出した。防護服に身を包み、シェルターの外に出る。するとそこには、恐るべき光景が広がっていた。放射能の影響で狂人と化した囚人たちが、核シェルターを奪い取らんと取り囲んでいたのである。やがて囚人たちは核シェルターの内部に侵入し、無慈悲な殺戮を繰り広げる…。
被爆した囚人が怪物同然になって暴れ回る、極めてデンジャラスな設定の密室パニック映画。登場する囚人たちはケロイドだらけの痛々しい容貌をしており、言葉を発せずに老若男女問わず殺害していく様はまさにゾンビそのもの。日本なら絶対「被爆者を怪物扱いしている」といったクレームが来て規制されるだろう。
そんなイカれた本作だが、脚本の方は非常に退屈だった。特にチェイス大臣の傲慢ぶりが大して発揮されていないものだから、ラストで酷い目にあっても「そこまでするか?」と思えてしまい、カタルシスを味わうには至らなかったのは厳しいところ。色んな意味で後味の悪い作品だった。
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