グランド・クロス レボリューション 「評価 C」
メイン州ウォーターサイド。その地下3000メートルには、太古に作られたピラミッドが存在した。古代文明を研究するジョセフはその存在を探し当て、ピラミッドの中へ潜入を試みた。ところがその時、遠く離れたイギリスのストーンヘンジで異変が発生。巨大な石が動き出して一定の間隔で並ぶと、強烈な電磁波を放って周囲を焼き払ったのだ。すぐさま軍が駆けつけ、ストーンヘンジの周りを封鎖する。しかし異変は、これだけに留まらなかった。その後もストーンヘンジは時間を置いては並び方を変え、電磁波を放出する。するとそれに呼応するかのように、メキシコのカスティーヨが、インドネシアのボロブドゥールが、エジプトのピラミッドが、次々と火山の火口のように変形しては、大量のマグマを噴出したのだ。ジョセフの元同僚の科学者ジェイコブは、これらの遺跡が全て、地球上に張り巡らされた電磁波ネットワークの主要ポイント上にあったことから、1つの仮説を導き出した。古代人たちは地球上の文明をリセットするために、これらの遺跡を作ったのではないかと。だとしたら事態を収束するには、同じく古代人が作り上げたオーパーツを用いるしかない。そこで有名なオーパーツとして、ニューヨークのアメリカ考古学財団に収容されている「アンティキティラ島の機械」に目をつけたジェイコブは、軍の関係者と共に急いで財団の博物館へと飛んだ。博物館内でアンティキティラ島の機械を調べたところ、確かにストーンヘンジと同等の電磁波が計測された。これをストーンヘンジにぶつければ、電磁波同士が打ち消しあって世界の異変は収まるに違いない。だがそこに、武装したジョセフとその仲間たちが現れた。彼らはこうなることを知っていて、敢えてメイン州のピラミッドに侵入したというのだ。文明を滅ぼし、選ばれた人間のみが生きる理想郷を作るために。ジョセフたちはまんまとアンティキティラ島の機械を奪い取ると、ピラミッドへと戻っていった。地上崩壊の時が刻々と迫る中、ジェイコブたちは機械を奪還するためにメイン州へと向かった…。
「ソーラー・ストライク」「アルマゲドン2009」のポール・ジラー監督による、超古代文明ネタ満載の終末パニック映画。ストーンヘンジ、カスティーヨ、ボロブドゥール、そしてギザのピラミッドを全て「古代人が作り上げた装置」として同列に扱うところといい、異変の根幹となっている「電磁波ネットワーク」が何なのか全く説明されないところといい、「超古代文明による異変を止めるには超古代文明の遺物が一番さ!」という超理論で話が展開するところといい、鑑賞していて何度も「な、なんだってー!」と叫びたくなるような非常に楽しい内容だった。
だがネタが面白い反面、パニック映画としては物足りない出来だ。地球規模の災害が起こっているのに、作中で描写される災害シーンと言えば、各古代遺跡が爆発するカットと、メイン州のピラミッドが地上にせり上がる際に生じた地割れぐらいのもの。流れるマグマとか被災した人々なんかはニュース映像の流用でお茶を濁しており、観ていても終末っぽさが全然感じられないのは致命的に思えた。
それにしても、なんでこんな作品に「グランド・クロス」の邦題をつけたんだろう。本作の災害は別に天体異変によるものではないし、太陽黒点による氷河期パニック映画「グランド・クロス」との共通点が少しも見えてこないのだが。
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