襲撃者の夜 「評価 A」
1858年、メイン州デッドリバーで灯台守の一家が失踪した。以後アメリカ東海岸の各地では、未解決の失踪あるいは殺人事件が頻繁に発生するようになった。そして現代、メイン州のリゾート地で暮らすイラストレーターのエイミーは、友人クレアとその子どもたちを家に招きいれた。クレアは夫スティーヴのDVに悩まされており、裁判でクレアたちから離れるように命じられてもしつこく付きまとってくるスティーヴから避難してきたのだ。エイミーと夫はそんなクレアたちを暖かく迎え入れ、穏やかな時間を過ごしていた。ところがその晩、平和は圧倒的な暴力によって吹き飛ばされた。東海岸各地を転々としながら、贄となる人間を狩り続ける狂気の一族。そんな現代の食人族が、エイミーの家を襲撃してきたのだ。エイミーの夫は成す術もなく四肢を固められ、全身を破壊される。エイミーやクレアも逃げようとしたが、大自然の狩りを得手とする彼らから逃れられるはずもなかった。子どもたちを逃がすのが精一杯で、2人とも捕らえられ、彼らの棲家である洞窟へと連れて行かれた。一方、食人族を追っていた警官は、逃げ延びた子どもを発見。エイミーとクレアを救出するために、洞窟に乗り込んだ…。
ジャック・ケッチャムの「襲撃者の夜」を映画化した作品……なのだが、本作を観たとき私は激しく後悔した。なんでこんな面白い作品を、映画を観るまで知らなかったんだ! 食人族好きとして、まさに一生の不覚と言うしかない! ソニー・ビーンの殺人ファミリーを彷彿とさせる現代の食人族が、平穏な日常を粉々に打ち砕いてしまうカタルシス。真夜中の森の中、斧やナイフを持った連中がぞろぞろ追いかけてくる戦慄。そして一族の子どもがケタケタ笑いながらナイフを突き立ててくる狂気。どれをとっても怖い、怖すぎる。加えて本作は、鉄の入れ歯をつけて女の全身を噛み千切る拷問とか、頭をスライスして脳味噌を啜り出すとか、素敵に強烈な人体破壊描写のオンパレード。あまりにも壮絶すぎて、鑑賞中はドーパミンの分泌が止まらなかった。ただこの映画、若干間延びしている箇所があるとか、画面が暗すぎて戦闘シーンが分かりづらいとか、映像化に際して生じたと思われる欠点が幾つか見られた。だから鑑賞後、すかさず本作と前作「オフシーズン」の原作本を買いに走ったのである。
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