ザ・チェーンソー・スラッシャー 悪夢のいけにえ         「評価 D」
のどかな週末。医大生の仲良しグループは湖畔のキャンプ場へとやってきた。泳ぎに酒にセックスと休日を満喫する一行だったが、その様子を草陰から窺う者がいた。奴こそはマイク・コールマン。少女ばかりを殺害して行方をくらませた、イカれた殺人鬼だ。マイクは学生が持ってきた白いマスクを拾うと、それを被って血みどろ劇場を開演した。あらゆる凶器を用いて医大生たちに襲い掛かり、自分の小屋に引きずり込んでは過酷な拷問を加えて殺していく。医大生たちはそんな暴行魔に決死の抵抗を試みるが、実はこの場にいる殺人鬼はマイクだけではなかった…。
「13日の金曜日」のような湖畔のキャンプ場を舞台に、「ハロウィン」のブギーマンのような純白マスクを被った、「悪魔のいけにえ」のレザーフェイスのようなエプロン&チェーンソー姿の殺人鬼が、馬鹿な若者たちを血祭りにあげるドイツ産スプラッター映画。「過去のホラー映画の名作にオマージュを捧げた」という触れ込みの作品だが、単にありがちな設定・ありがちな展開を何の工夫もなく並べたような内容で、過去の作品への敬意などまるで見えてこなかった。しかも本作、監督がCM畑の人間なせいか、とにかく印象に残るカットを作ることを最優先にしており、作品のテンポとか見せ場とかを完全に度外視しているから困りもの。例えばこんなシーンがある。キャンプ場についた医大生たちが、「よおし、テントを作るぞ!」とテントの部品を取り出す。すると次のカットでは、彼らがテントを組み立てる様子を最初から最後まで、定点カメラで長々と捉え続けるのだ。一応早回しにしているのだが、どうしてこんなどうでもいい場面を延々と見せられなければならんのか。確かに印象には残るが、ホラー映画に本当に敬意を表しているなら、こんなホラー性皆無な場所は省いてさっさと見せ場に移行するべきだろうと強く思った。
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