レオパルドマン 豹男           「評価 D」
パブでダンサーをしているキーキーは、実力はあるのに注目されず、同僚たちに人気で差をつけられていた。それを憂いた恋人のジェリーは、彼女のために黒豹をレンタルし、こいつを連れて店に出てはと提案する。そこで同僚がダンスを披露している最中、黒豹を連れて現れてみたところ、確かにキーキーは注目の的となった。しかしそれを不愉快に思った同僚が、カスタネットで黒豹を威嚇なんてしたものだから、さあ大変。たちまち黒豹はパニックを起こし、キーキーの手を離れて店を飛び出してしまった。すぐさま警官隊が出動し、黒豹の捜索が行われた。だがその甲斐なく、1人の少女が黒豹に食われて死亡するという最悪の事態に発展した。責任を感じたジェリーとキーキーは、事態を収拾するために黒豹を探すことを決意する。その後も黒豹によるものと思しき事件が続発し、彼らは動物学者ゲイルブレイトの協力を得ながら捜索を続ける。ところが事件現場を回るうち、ジェリーはある違和感に気づいた。ゲイルブレイトの話によれば、逃げた黒豹はその習性上、人気のない場所に身を潜めるものだという。なのに2番め以降の事件は、いずれも町のど真ん中で行われており、また遺体が食い荒らされた形跡もなかった。そう、黒豹が逃げたことにかこつけて、何者かが連続殺人事件を起こしていたのだ…。
ジャック・ターナー監督による、アニマルパニック&ミステリー。「キャット・ピープル」の監督作でタイトルが「レオパルドマン」だからと言って、別に豹男なるモンスターが出てくるわけではない。「狼男バサーカー」や「シャーロック・ホームズvsヴァンパイア」のように、殺人を獣や怪物の仕業に見立てたシリアルキラーをそう呼んでいるだけである。そんな犯人の正体を探るのが本作の主軸となるのだが、1943年製作であることを差し引いても、演出やドラマの弱さが気にかかった。序盤から占いにより何度も死の予兆が出ていた女性は、その布石の多さにかかわらず中盤でアッサリ退場して拍子抜けさせられる。クライマックスにおける犯人との対決も、葬列という舞台装置がありながら全く活かせずに終わって物足りない。同年の「私はゾンビと歩いた!」に比べると、大きく見劣りしてしまう作品だ。
TOP PAGE