ワールドブラックアウト          「評価 C」
太陽異常により生じた磁気嵐が、地球を襲った。その影響でヨーロッパ全土の電力網は機能を失い、長期間にわたる停電状態に。するとヨーロッパ各地では、停電に伴う事故や事件が相次いで発生。ピレネー山脈付近の都市・ストラスブールでも、市長のベアトリスがそれら二次災害への対処に追われていた。そんな中、ストラスブールの化学工場が爆発し、有毒ガスが町中に溢れ出すという重大事故が発生した。ベアトリスが前もって市民を避難させていたおかげで、被害は最小限に食い止められたが、彼女自身は直前まで陣頭指揮を執っていたため逃げ遅れてしまう。ベアトリスは他の生き残った市民たちと共に、外気を遮断したスーパーマーケットに立て篭もり、救援を待つことにした。一方、ベアトリスの元夫マニュは、久しく会っていなかった息子たちが停電で動きを止めていた電車から降り、行方をくらませたとの情報を耳にする。マニュはただちに息子たちを探しに出発するが、その頃息子たちは逃走中の殺人犯ヤンに遭遇し、彼と共に山道を歩いていた…。
「奥サマは魔女 魔王の陰謀」「迷宮の女」のルネ・マンゾール監督による、停電を題材にしたフレンチパニック映画。冒頭で「ワールドブラックアウト」の邦題に恥じない地球規模の災害が巻き起こるものの、本編のストーリーは小さな地方都市の中で完結しており、実際のスケール感はそれほどでもなかった。停電を扱っているのに昼のシーンばかり続き、つい気を抜くと停電であることを忘れてしまいそうになるぐらい状況を実感しにくいのもマイナスだ。人間ドラマの方は、いかにも人間の内面を描いたスリラーを得意とするルネ・マンゾール監督らしく、手堅く纏められており、安心して観ていることができた。しかしパニック映画としては、どうにも消化不良感の強い作品だった。
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