ライトニング・ストライク 「評価 D」
田舎町ロスコーの道路で、奇妙な事故が発生。車が何者かによって真っ二つに切断され、その側には雷に撃たれたと思しき母子が倒れていたのだ。保安官のブラッドレーは駆けつけるなり、その異様な光景に首を傾げる。がちょうどその時、現場付近を余所者のドノバンがうろついているのを見掛け、彼に疑いの目を向けた。その後、ドノバンは町のコンテナの屋上を借り、何やらアンテナのようなものを組み立て始める。これには町の人々も不安を覚えるが、ドノバンが事故と関わっている証拠もないし、表立って悪事をしているわけではないので、ブラッドレーはこれといって手出しをせず、ただ彼の行状を見守るだけだった。そんなある日、町に気象学者コナーズ率いる大学の研究チームがやってきた。彼らの研究対象は、無数の雷がまるで意思を持っているかのように一定の標的めがけて降り注ぐ異常気象“ブルー・ライトニング”だ。どうやらコナーズの話によれば、先日の事故もブルー・ライトニングの仕業らしい。ブルー・ライトニングは凄まじい破壊力を誇り、車ですら容易に切断するそうだ。また彼らは調査の結果、翌日ロスコーをブルー・ライトニングが襲来することを突き止めた。そこで住民に避難を呼びかけるべく、この町へ来たというのだ。ところが町長は、コナーズたちの話に対し、ちっとも聞く耳を持ってはくれなかった。それもそのはず、翌日は毎年恒例のカボチャ祭りの開催日。自動車工場の誘致を目論む町長としては、町を大々的にアピールするためにも、祭りの中止だけは何としても避けたかったのだ。かくして何の対策もされないまま、祭りの夜が来てしまった。多くの町民たちがメインストリートに集まり、飲めや歌えやの大騒ぎ。ところがしばらくすると、空は淀み、雲行きが怪しくなる。そして激しい轟音と共に、ブルー・ライトニングが町に襲い掛かった。天から無数の雷が降り注ぎ、建物を破壊していく。すぐさまブラッドレーたちは避難誘導を開始するが、対策が万全でなかったことから被害は拡大の一途を辿り、次々と町民たちが雷に撃たれて消し炭と化した。そんな中、ドノバンはコンテナの屋上に行き、前々から作っていた装置を作動させる。実は彼には、ブルー・ライトニングで息子を失った過去があった。以後復讐のために独力で研究を行い、遂にブルー・ライトニングを消滅させる方法を発見。それをロスコーの町で実践しようとしていたのだ…。
「モスキート」「スパイダーズ」「ジュラシック・プラネット 恐竜の惑星」のゲイリー・ジョーンズ監督による、「ファントム・ファイアー」の雷版とも言うべき内容のモンスター・パニック映画。本作に出てくるモンスター“ブルー・ライトニング”は、電気エネルギーで活動する生命体。空から雷となって落下するのみならず、地上で人型の実体を現し、そこから雷を飛ばして攻撃することもできるという器用な奴だ。しかし多芸で魅せてくれる生命体である一方、その生態について作中でろくに説明されないのはどうかと思った。特に本作では、コナーズにドノバンと、ブルー・ライトニングについて専門的に研究している解説役が2人も配されているというのに。いずれもブルー・ライトニングを「危険な存在」と言うだけで、何故人間を襲うのか、具体的にどんな生物なのか、といった映画を観ている上で必然的に出てくる疑問について全然解説してくれない。そのため、ブルー・ライトニングの新しい能力が明らかになっても、退治方法が明らかになっても、それらは全て後出しジャンケン的に感じられ、どうにも映画にのめりこむことができなかったのだ。ただこの映画、冒頭において雷で車を切断するハッタリ加減といい、クライマックスで唐突にドノバンとブルー・ライトニングの殴り合いが始まるところといい、勢い重視のゲイリー・ジョーンズらしい演出が要所要所で炸裂していたのは楽しかった。
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