U.M.A.ライジング            「評価 B」
ネブラスカ州の田舎町リライアンスに、興行師カプリーニ率いるカーニバルの一団がやってきた。多くのフリークスたちが芸を披露し、客の入りは上々だったが、町で伝道師をしているオーウェン牧師は「神を冒涜している」と顔をしかめていた。そんな中、カーニバルの目玉となる怪物が満を持して公開された。巨大な翼と鋭い爪を持つ伝説の魔物、ジャージーデビルだ。檻に入れられたその異様な容貌を目の当たりにした人々は、誰もが目を見張るばかり。しかしその時、ジャージーデビルに打たれていた鎮静剤の効果が切れてしまった。ジャージーデビルは檻を破って逃げ出すと、町の人々を次々と殺し始めたのである。保安官のサムは事態を収拾するべく、町の猟友会と協力してジャージーデビルの捕獲に動き出した。カプリーニもせっかくの商売道具に傷を付けられてはたまらんと、独自にジャージーデビルを追う。また殺された人間の中にはオーウェン牧師の息子も含まれており、復讐心に燃えたオーウェンは、ジャージーデビルとカプリーニに天罰を下そうと行動を開始していた。だがジャージーデビルは、そんな彼らの思惑をものともせず、大空を飛び回りながら殺戮を繰り返す。平凡な田舎町は今、四つ巴の戦場と化したのだ…。
「烏」のシェルドン・ウィルソン監督による、ジャージーデビルを題材にした割と貴重なパニック映画。やはりRHI社の作品なのでVFXの質は上々で、上空から急降下してきて獲物を引き裂くジャージーデビルの姿は迫力満点。夜のカーニバル会場を舞台にしたクライマックスも、燃え盛る炎やライトの照明を効果的に使って「画面が何が起こっているか分からない」なんて事態を未然に防いでおり好感が持てた。映画後半における人間サイドの三者三様の争いが、肝心のジャージーデビルを蚊帳の外において展開し、結局グダグダな終わり方をしたのはいただけなかったが、モンスター映画としては安心して楽しめる作品だった。
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