ジョーズ・イン・ツナミ          「評価 C」
アメリカ西海岸の遥か沖合いで、海底火山が噴火した。それは大地を揺るがし津波を発生させたのみならず、古代より眠りし凶悪なモンスターまでも呼び覚ましてしまった。一方、カリフォルニア州マリブ・ビーチでは、今年も多くの水着ギャルで賑わいを見せていた。遠くの災害のことなど露知らず、呑気に休暇を満喫する行楽客たち。だが間もなく、ビーチに異変が生じる。数百万年前に絶滅したとされる、ミツクリザメの仲間の古代鮫が大挙して押しかけ、海上でクルージングやパラセーリングをしていた人々を次々と食い殺していったのだ。更にビーチに津波が押し寄せてくることが判明し、行楽客たちは慌てて高台への避難を開始する。ライフセイバーのダグたちは、直前まで鮫に襲われていた人々の救助を行った後、ビーチの監視小屋に避難し、津波をやり過ごすことにした。そして、津波がやってきた。ビーチはおろか近隣一帯までもが完全に水没し、監視小屋は海上に孤立する形となった。ダグたちは波が引くのを待とうとしたが、怪我をしていた人間の血が海に流れており、気がつくと監視小屋の周囲には無数のサメが集まっているではないか。次々と襲い掛かってくるサメに、消耗していく一行。やがてダグは、武器を手にサメに立ち向かうことを決意した…。
「超隕石 ファンタスティック・フォース」のキース・ショウ脚本による、オーストラリア産のマリンパニック映画。VFXのレベルは決して高いとは言えず、押し寄せる津波の様子といい、海中を泳ぐサメたちの姿といい、まるでTVの科学番組を見ているようで拍子抜けさせられる。製作側もそのことを気にしたのか、クライマックスのサメ軍団との戦いは夜間に行われ、画面の暗さでCGの稚拙さが気にならないようにしていた。しかしそのせいで画面上で何が起こっているか分かりにくくなっているのは本末転倒だろう。ただ映像面が残念なことになっている一方、サメ映画としては豪快な描写が数多く盛り込まれていたのが好印象だった。序盤のパラセーリングの場面では、パラセーリングをしていた男が着水した僅かな間にサメがやってきて、男の下半身を食いちぎる。そして男の体が上空に舞い上がると、彼の無惨な様子が衆目に晒され、辺り一面に血の雨が降り注いで大惨事となるのだ。またサメとの戦いでは、前半こそ水中銃や照明弾といった定番の武器が使われるが、これがクライマックスになると、なんとチェーンソーでサメ軍団に立ち向かう。向かってきたサメの頭にチェーンソーを突き立て、血しぶきと共に撃退する様は、並みのサメ映画では到底味わえないカタルシスをもたらしてくれた。これでVFXの質がよくて画面が明るかったら大満足なのに、何とも惜しい映画だった。
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