バーバリアン 恐竜地獄の美女       「評価 C」
199X年、トロマヴィルは核の炎に包まれた…! 家は焼け、秩序は滅び、町は放射能の突然変異で誕生した怪物・トロマザウルスたちが跋扈する、弱肉強食の恐竜地獄と化した。それから時は流れ、広大な森となったトロマヴィルで1人逞しく生きる美女・リアがいた。彼女はある日、盗賊に捕まってレイプされかかったところを、ハンターのマリンによって助けられる。マリンと仲良くなったリアは、共に安住の地を探すための旅に出ることにした。しかし海辺に辿り着いたところで、2人の前に鎧を着たタフガイが現れた。奴こそはトロマヴィルに巨大な宮殿を構える悪の大王。多数のトカゲ兵士やトロマザウルスを従え、近隣一帯で傍若無人な振る舞いをしている、とっても悪い奴だ。大王はリアを見かけるなり彼女の美しさに惹かれ、何としてでも我が物にせんと、トカゲ兵士を率いて襲い掛かってきた。2人は必死に抗戦したものの力及ばず、マリンはズタボロにされ、リアは連れて行かれてしまった。瀕死で倒れていたマリンは親切な老人に助けられ、傷の手当てをしてもらった。意識を取り戻した彼は、老人から先文明の兵器・銃を貰うと、早速リアを追って出発した。一方リアは、城へ連行される途中、大王たちがトロマザウルスに足止めされている隙に脱走を図った。深い森を逃げ回っていた彼女は、革の覆面を被った1人の男と出会う。この男こそは、放射能で歪んだ顔を覆面で隠した新時代のヒーロー、悪魔の毒々レザーフェイスだ。顔は醜いが心は優しい毒々レザーフェイスに助けられたリアは、一緒にマリンを探しに行くことにした。だが旅を始めて間もなく、2人は悪の大王たちの襲撃を受けた。毒々レザーフェイスはトカゲ兵士たちを難なく倒し、大王相手にも死闘を繰り広げる。しかし戦いは、大王の勝利に終わった。リアは再び大王に捕らえられ、城へと連れて行かれることに。その道中、大王は抵抗をやめないリアを屈服させるべく、レイプしようとしたが、そこに巨大ミミズが出現。大王はミミズに襲われて腕を食いちぎられ、リアはそのドサクサに紛れて脱走した。追いかけてくるトカゲ兵士から、懸命に逃げるリア。彼女はやがて、トロマザウルスが跋扈する城の中に逃げ込んだ。ところがこの城こそが、悪の大王の本拠地だった。すぐさまリアは牢屋に幽閉され、万事休すとなった。一方マリンは、リアを追って旅をしている途中、丘で倒れている毒々レザーフェイスと邂逅。毒々レザーフェイスは、マリンがリアの探していた男だと悟ると、彼女が連れて行かれた方向を指し示し、静かに息を引き取った。その頃宮殿では、悪の大王がまるで屈服しないリアに手を焼いていた。やがて業を煮やした大王は、リアをトロマザウルスの餌にして処刑することを決める。トカゲ兵士に組み敷かれ、トロマザウルスの上に突き落とされそうになるリア。だがいよいよ落とされんとしたその時、マリンが城の中へと突入。銃を使って颯爽とリアを助け出すと、城から逃げ出した。激怒した大王は彼らを追いかけ、湖の近くで2人に襲い掛かる。死闘の果て、勝ちを収めたのはマリンだった。大王は湖へ転落し、あわれ棲息していたトロマザウルスの餌食に。かくして、マリンとリア、そして毒々レザーフェイスの活躍により、トロマヴィルの巨悪は滅びたのである…。
「アラクニア」「巨大クモ軍団 VS GO!GO!ダンサーズ」のブレット・パイパー監督による、トロマ配給の冒険活劇。さすがブレット・パイパー作品なだけはあり、特撮のチープさ加減は相当なものだ。尻尾の長いカバ、頭上にツノのついたサイ、口のでかいミミズなど、本作に出てくるトロマザウルスたちは、個性溢れるデザインに関しては悪くない。でも一度動きだすとストップモーションアニメの技術の稚拙さが露呈し、滑らかさ皆無の不自然極まりない動きを見せ、物凄くほんわかした心持ちにさせてくれた。映画中盤には「紀元前百万年」のトカゲvsワニにオマージュを捧げたと思われる、カバとサイの乱闘シーンが出てくるが、動きが緩慢すぎて迫力なんかこれっぽっちもありゃしないのもご愛嬌だ。そんな特撮に彩りを添えるのが、これまた脱力させてくれる演出の数々である。特に冒頭のリアによる状況説明を兼ねたナレーションは、何故か演出がアイドルのイメージビデオじみていて、どんなに世界の状況が切迫していても語り口はセクシーさ満点。開始早々そのギャップにずっこけること請け合いで、「ああ、これは肩の力を抜いて見るべき映画なんだなあ」ということを明確に認識させてくれた。そしてストーリーも「リアが逃げる→悪党に捕まる→レイプ未遂→リアが逃げる→……」の無限ループで構成されており、その水戸黄門並みにブレの無い展開は、僅かたりとも緊迫感を呼び起こすことがない。全ての要素においてダウナーな雰囲気が漂っており、何ともトロマらしさに溢れている作品だった。
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