スプラッター・ユニバーシティ      「評価 C」
とある精神病院は経費削減により、深刻な人手不足に悩まされていた。当然監視の目も甘くなり、遂にある日、患者のグラハムが医者の股間をナイフで刺す事件が発生。グラハムは医服を奪って病院を脱走し、姿を眩ませた。
それから3年後、新学期を迎えた聖トリニアン大学に、新任の社会学教師ジュリーが赴任した。まず彼女は、大学の専属神父である車椅子姿のジャンソンに会い、大学についての説明を受けた。だが一通り説明が終わったところで、思いも寄らぬ話を聞かされる。彼女の前任だったジャネットは、大学内で何者かに殺されたというのだ。犯人は未だに捕まっておらず、学園内の人物による仕業との噂も立っているらしい。かくしてジュリーは教師として働きながら、殺人鬼と接するかもしれない恐怖と、なかなか言う事を聞いてくれない学生たちに悩まされる日々を過ごすこととなった。そんな彼女を救ってくれたのが、大学の同僚であるシンシアとマークだ。彼女たちはたびたびジュリーの相談に乗ってくれ、おかげでジュリーも何とか教師としてやっていくことができた。しかし一方で、学園内では更なる惨劇が繰り広げられていた。女子生徒や女性教師を狙った殺人事件が相次いで発生し、とうとうシンシアまでが、犯人の手にかかって惨殺される。シンシアは殺される前、ジュリーに「マークに気をつけなさい」と警告していた。何故なら彼はジャネットの元恋人で、2人が喧嘩別れした直後に、ジャネットは殺されていたのだ。そしてシンシアは、そんな話をして間もなく殺された。ジュリーは嘆き悲しみながら、犯人はマークに違いないと確信。部屋にやってきたマークに不意打ちを食らわせて気絶させると、ジャンソン神父のもとに逃げ込み、助けを求めた。ところが、何やらジャンソンの様子がおかしい。彼は突然、ジュリーに語り出した。自分が車椅子に座っているのは神の教えに背いた罰だ。しかし何者かが自分を誘惑したとき、その者に神罰を与えるため、神が自分の両足を使うのを許してくれるのだ、と。すると彼は立ち上がり、ナイフを手にしてジュリーに襲い掛かってきた。実はジャンソンの正体は、精神病患者のグラハムだった。3年前に病院を脱走した彼は、何を思ったか自分のことを神父だと信じ込み、大学内に居座っていたのだ。ジュリーはグラハムの凶刃から逃れるべく、大学内を走り回る。やがてエレベーターに乗って下の階に移動するが、いざドアが開くと、そこにはグラハムが──。意識を取り戻したマークが駆けつけると、既にジュリーは命を奪われていた。グラハムは精神病院に連れ戻され、学園の惨劇は煮え切らない結末を迎えたのである…。
「悪魔の毒々ハイスクール」のリチャード・W・ヘインズ監督による、学園スプラッターホラー。冒頭の精神病院のシーンは、病院の廊下でタバコをふかしている不真面目な看護婦といい、陽気にぬいぐるみと遊ぶオッサンといい、非常にダウナーかつクレイジーな雰囲気が漂っており、後々への期待を膨らませてくれた。ところが舞台が大学に移ると、このトロマ独特の不真面目な空気はいっぺんに鳴りを潜めてしまう。と言うのも本作、主要な登場人物となるジュリーたち教師陣がシリアス一辺倒で、おふざけの介入する余地が無くなっているのだ。一応本作にも、セックス三昧の学生たちとか、ジュリーの下宿先のブルームおばさんといった、コメディ・リリーフ的存在は配されており、場面の合間に下らないやりとりを繰り広げる。しかし主要人物が先述の有様なものだから、このようなコメディ的要素は完全に浮いてしまっており、作品全体のバランスを崩しているとしか感じられなかった。衝撃的なラストには驚かされたが、トロマ映画としては今一つな印象だ。
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