フォートレス・オブ・アメリカ         「評価 C」
アメリカの砂漠地帯で、カップルがキャンプをしていた。ワインを飲んでいい気分になり、いよいよセックスにもつれこむ。だが一仕事終えた直後、迷彩服を着込んだ謎の連中が現れ、カップルを惨殺した。奴らこそは血と暴力をこよなく愛する、狂気の傭兵集団。カリフォルニア州はずれの森に殺人キャンプ“フォートレス・オブ・アメリカ”を設け、日々訓練を行う傍ら、近くを通りかかった一般市民を容赦なく手にかけていたのだ。そんな中、フォートレス・オブ・アメリカからそう遠くない田舎町に、インディアンの混血である青年ジョン・ホワイトクラウドが4年ぶりに帰ってきた。彼は差別主義者の保安官に弟を殺された上、自身も言われ無き罪で逮捕され、今の今まで刑務所に収監されていたのだ。しかし帰郷したジョンを待ち受けていたのは、4年前と変わらない差別の洗礼だった。彼は事あるごとに保安官を始めとした差別主義者たちに目をつけられ、小競り合いを繰り返した挙句、留置所に入れられてしまった。一方、町ではモーテルにいた人間が傭兵集団に襲撃され、皆殺しにされる事件が発生した。目撃者は全員殺されていたが、警察は現場に残されていた銃弾が海外からの密輸品だったことから、事件をフォートレス・オブ・アメリカの仕業と判断。しかし肝心のキャンプの場所が分からないため、手を出すことができずにいた。その後もフォートレス・オブ・アメリカによるものと思しき犯行が続発し、市民は不安に怯えるばかりだった。さて、元恋人ジェニーの手引きで留置所を脱走したジョンは、弟の墓に来たところを保安官に見つかり、因縁の勝負をもちかけられた。ジョンは弟の死に花を添えるべく保安官に立ち向かうが、やがて追い詰められ、銃口を向けられる。しかしその時、一発の銃声と共に保安官が倒れた。驚いたジョンが辺りを見渡すと、周りにはフォートレス・オブ・アメリカの連中が。どうやら騒ぎを聞いて駆けつけてきたらしい。たちまちジョンとジェニーは捕らえられ、捕虜としてキャンプまで移送された。その日の夜、ジョンは縄を解いて単身脱走すると、町に戻って警察を始めとした住民たちに救援を求めた。町の連中はジョンが憎かったが、フォートレス・オブ・アメリカはもっと憎かった。そこで彼らは一致団結し、ジョンの先導のもと、フォートレス・オブ・アメリカに襲撃をかけた。銃弾と爆弾が入り乱れる大乱戦の末、ジョンは無事ジェニーを救出し、キャンプは完全に消滅した。かくしてアメリカの自由は、人種の垣根を越えた団結によって守られたのだった…。
田舎のオヤジたちが結集して鬼畜傭兵集団をブッ飛ばす、ロイド・カウフマン&マイケル・ハーツのコンビによる痛快アクション・ムービー。さすがトロマの中心コンビが手がけているだけのことはあり、エログロ要素の濃さは期待通り。序盤から一般市民を車裂きの刑にかけて度肝を抜いてくれるし、その後も喉元掻っ切りだの、女性の死体にナイフで文字を刻み込むだの、残酷描写の機銃掃射が続いて楽しませてくれる。また作中の至る所ではトップレスの美女たちが現れ、女性隊員同士のキャットファイトまで用意され、お色気面も相変わらずの充実ぶりだ。しかしこの映画、せっかくクライマックスへの流れは最高だったのに、肝心のクライマックスの乱戦シーンの描写が、凡百のアクション映画と全く変わりなかったのは残念だった。先述の残酷描写に比べると物凄く大人しい感じで、これまで散々非道なところを見せていた傭兵たちが罰せられる描写としては、あまりにもカタルシス不足。情け容赦ない悪党は情け容赦なく殺して何ぼのもんだろう、と思えてならなかった。
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