ナンパ・ビーチ・グラフィティ             「評価 B」
1960年代、夏。レオン大学に通う学生たちは厄介な期末試験を終え、ゴキゲンな週末を過ごすために美しいビーチ“オーシャン・ドライブ”へとやってきた。
楽天家のミラーと気弱なチャックの凸凹コンビは、この夏で童貞を捨ててやると大ハリキリ。早速女の子2人を引っ掛けて部屋に連れ込むことに成功するが、彼女たちの気を引こうとテキーラ一気飲みをしたのがまずかった。たちまちヘベレケになったチャックとミラーは、部屋をめちゃくちゃにしたり、プールで乱闘を巻き起こしたりと狼藉の限りを尽くし、すっかり女の子たちにそっぽ向かれてしまうのだった。翌朝、二日酔いに苦しみながらレストランで食事をとっていた2人は、現金を持ち合わせていないことに気づく。海に飛び込んで逃げ出そうとするが、店主と警官に砂浜で待ち伏せされて絶体絶命。砂浜に上がったミラーが言い訳を考えて四苦八苦していると、運の良いことに足元に財布が落ちていたではないか。そこで「財布を海に落として、拾おうとして飛び込んだ」ということにして、財布の金でその場をやり過ごすのだった。
フレディとアレンは徴兵を間近に控えており、不安で不安でしょうがなかった。彼らは徴兵を免れるべく、ビーチで遊ぶこともせずに色んな手段を試してみることにした。自分の足を拳銃で撃とうとするが、どうにも決心がつかず実行に踏み切れない。「マリファナを吸ったら性病の陽性反応が出る」という話を耳にしたらマリファナを吸ってみるが、すぐにその話がデタラメだと発覚する。そうこうしている間に、刻々と徴兵の時が迫っていた。
そして週末最後の晩、学生たちがビーチの酒場に集まり、盛大なダンスパーティーが開かれた。ところがそこに、ミラーの姿は無かった。今朝ミラーが拾った財布は、工業大学の不良たちが落としたものだった。彼は不良たちに捕まり、リンチを受けていたのだ。それを知ったチャックは、学生たちに呼びかけた。みんなで一緒にミラーを助けに行こうと。学生たちは酔っていた勢いもあって立ち上がり、ミラーが捕らえられている別荘に乗り込んだ。大乱闘の末にミラーは助け出されるが、乱闘に加わった学生たちはみんな警察のお縄に。しかしこうして捕まったおかげで、フレディとアレンは無事に徴兵を免れることができたのである…。
リゾートビーチを舞台に学生たちのドタバタ騒動を描いた、トロマ産の青春映画。上記のミラー&チャックのコンビ、フレディ&アレンのコンビ以外にも様々な学生が登場し、彼らがビーチの中で色んな形で関わりあっていくグランドホテル方式の内容となっている。トロマの群像劇と言うと、「ウェイトレス 桃色究極メニュー」や「マリブ・ビーチ物語」みたいに、各個のエピソードを別々に処理するせいでまとまりに欠けている作品の印象が強い。しかし本作はダンスパーティーからミラー救出への畳み掛けるような展開で、それぞれの登場人物の物語に力技ながらもほぼ同時に決着をつけており、観終わったときの印象も非常に清々しいものになっていた。勿論トロマ映画なので出てくる学生たちは強烈な個性の持ち主ばかりで、中でもコンピューターマニアのカークのイカレ具合は最高だった。大学で眠りこけていたかと思ったら叫び声と共に起き上がり、そのハイテンションのままバイクに乗って、ビーチへの道路を猛スピードで突っ走る。追ってきたパトカーを振り切り、ビーチに到着──したのにバイクは止まる気配が無く、そのまま海へ突撃。そしてバイクを海の底に沈めると、平然とした表情でビーチまで歩いて戻ってくるのだ。非常にアグレッシブなその生き様に、観ていてただ感動するばかりだった。
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