デブリン・パニック              「評価 C」
イタズラ好きな金持ちのロッジは、友人ハロルド、悪徳弁護士ロナルドと一緒に、イタズラ三昧な日々を過ごしていた。ある日、保釈中の身でありながら悪事を繰り返していることが裁判官たちの耳に届き、ロッジは玩具工場で働かされることに。コンベアから流れてくるサンタ人形を見て、欠陥品を取り除くだけの簡単なお仕事だ。けれどもロッジは「金はあるのにこんなことやっていられるか!」と、働くことを拒否。身を隠すため、精神病患者収容所にいる弟のドゥーグルを訪ね、所内に匿ってもらった。しかし持ってきたカバンを放置していたところ、患者たちが中から睡眠剤や拳銃を取り出して大騒ぎ。すぐにロッジの存在がフィッシャー所長の知るところとなり、彼は部外者を引き入れたドゥーグルともども、収容所から追い出されることになった。2人が出て行く際、収容所仲間のデブリンがあまりにも名残惜しそうにしているものだから、車まで荷物を届けさせることにした。そしてロッジとドゥーグルは車に乗り、収容所を後にする。ところがふと荷台を見てみると、ちゃっかりデブリンが乗っているではないか。このまま戻ると「患者を外に連れ出した」と厄介なことになるので、デブリンを道端の郵便ポストに縛り付けて置いて行こうとするが、デブリンは郵便ポストを破壊して追いかけてきた。2人は仕方なくデブリンを車に乗せ、近くのガソリンスタンドに行くと、収容所に電話して連れ帰ってもらおうとした。しかし2人が車を離れている間に、デブリンはガソリンスタンドの店員に襲い掛かり、スタンドを滅茶苦茶に。2人はデブリンを連れて逃げ出し、ひとまず友人ハロルドの家に泊まり込むことにした。ところが翌朝、気づいたらデブリンの姿が見当たらない。彼は銃や麻薬の入ったロッジのカバンを持ち出して、街に飛び出してしまったのだ。何か事件を起こしては大変と、大慌てでデブリンの捜索を始めるロッジたち。それを余所にデブリンは、結婚式会場に乱入して大暴れし、警察が駆けつける事態を巻き起こす。騒動を聞いたロッジたちも現場に駆けつけるが、デブリンがカバンから拳銃なんか出したものだから、警察の発砲を招き、あえなくデブリンは病院送りに。更にこの事件が原因で、デブリンは危険な精神病患者と見なされ、精神病院の中でも最もセキュリティの厳しい隔離病棟に収容されることとなった。かくしてデブリンから解放されたロッジ。だが彼はこれまでのドタバタを通じて、すっかりデブリンに対しての友情に目覚めていた。彼は意を決して、精神病院からのデブリン救出プランを立案。ヘリコプターで病院に侵入し、デブリンをロープで吊って連れ出すという豪快な作戦で、見事デブリンを自由の身にするのだった…。
知的障害もちのデブという強烈なキャラクター“デブリン”のハチャメチャな活躍を描いた、トロマ配給のコメディ作品。トロマ映画に出てくる知的障害者といえば「悪魔の毒々モンスター 新世紀絶叫バトル」の養護学校の子どもたちのように、ひたすらに悲惨な扱いを受けて不謹慎な笑いを呼び起こす存在を連想しがちだが、本作のデブリンの扱いはそれに比べれば遥かにマトモ。ロッジたちは時間の経過と共にデブリンを受け容れるようになるし、デブリン自身が起こす騒動もユーモアの範疇に収まっていて、実に安心して見ていられるのだ。裏を返せばトロマらしい悪ノリが感じられないということでもあるのだが、ロッジとデブリンが友情を築いていく様はしみじみした気持ちにさせてくれ、これはこれで悪くない。トロマにしては珍しい、正統派のコメディ映画だった。
トロマ映画一覧へ
TOP PAGE