マリブ・ビーチ物語            「評価 D」
女優志望のディト、歌手志望のジャニス、そして体育教師志望のシェリル。彼女たちはそれぞれの夢を実現するため、狭苦しい田舎町を離れてロスを目指していた。途中のレストランで知り合った3人は意気投合し、一緒にディトの車に乗ってロスへと辿りつく。ディトの従兄弟スチーブは、マリブ・ビーチの近くに小さな家を構えており、元々ディトはそこに居候する予定だった。だがスチーブの好意により、ジャニスとシェリルも彼の家に御厄介になることに。狭い家で共同生活を営みながら、3人は夢に向かって前進を始める。
シェリルはビーチをランニングしていたところ、同じくランニング中だった投資ブローカーのブレンと知り合った。幅広い人脈をもつブレンは、体育教師になりたいというシェリルのために、知り合いの高校を紹介してくれた。校長からの面接にも無事合格し、晴れて体育教師になることができたシェリル。彼女はブレンと急速に仲を深め、ある日とうとうブレンからプロポーズを言い渡される。だがこの時、シェリルは幸せな家庭を築くことよりも、長年の夢だった仕事の方を優先したかった。結婚と仕事の二者択一を迫られた彼女は、已む無くブレンと別れることを選択するのだった。
ディトは俳優養成校で演技の勉強をする傍ら、趣味の乗馬をするために近所の乗馬クラブに通っていた。やがてそこの厩舎で下働きをしているという美青年ジョンと仲良くなるディト。しかしジョンには秘密があった。彼はディトに対し、乗馬クラブに出入りしているピートという小男が乗馬クラブのオーナーだと紹介していたが、実はジョンこそがオーナーだった。ジョンはこれまでも多くの女性に言い寄られていたが、女性たちは皆ジョンの持っている資産が目当てであり、当のジョンは非常にウンザリしていた。そのため訪れる女性に対して自らの身分を隠すことで、財産目当ての女性が寄ってくるのを防いでいたのである。ところがディトは、財産とは関係なしにジョンのことを愛してくれた。そこでジョンは彼女に自らの身分を明かし、晴れて2人は結ばれた。
ジャニスはスチーブの紹介で、芸能プロデューサーのヴォンが所有するスタジオにやってきた。早速歌声を披露したところ、ヴォンは彼女の歌声に光るものを感じ、後日開催される彼主催のコンテストに出場しないかと話を持ちかけてきた。優勝すれば大金が手に入る上、これからの芸能界における成功も保証されるという一大コンテストにだ。ジャニスは戸惑いながらもコンテストに出ることを決心し、スチーブの協力のもと、当日に向けて猛練習を開始した。しかしどれだけ練習しても上達の兆しが見えないことから、焦ったジャニスは周囲に当り散らし、これまでの生活を通じて親密な関係になっていたスチーブにも別れを告げてしまう。そんなある日、ジャニスと会ったヴォンは、彼女に対してとんでもないことを言ってきた。コンテストに優勝したければ体を差し出せというのだ。ジャニスは当然その誘惑を拒絶したが、別の参加者はヴォンに抱かれることを承諾。更にその参加者は巨漢の芸能ブローカーともベッドインし、最早コンテストの優勝者は決まったも同然だった。だがそんなコンテストの内情を知ったのが、乗馬クラブのピートだ。かつてヴォンと張り合っていたピートは、コンテストの不正を阻止せんと、ジョンと一緒にその参加者が乗る車を襲撃。彼女の身動きを封じることで、コンテストが正常に行われるようにしたのである。そしていよいよ、コンテストが開催された。全員対等な条件下での勝負の末、見事ジャニスは優勝。自らの実力で、芸能デビューの夢を掴むのだった…。
「アンタッチャブル」でブレイクする前のケビン・コスナーがジョン役で出演していることで、ごくごく一部で有名なトロマ産ラブロマンス。同じ場に居合わせた3人の女性が活躍する様を同時進行で追っていくという構成は、同じトロマ映画の「ウェイトレス 桃色究極メニュー」を彷彿とさせる。だが本作、それぞれのエピソードが収束することなくバラバラに完結してしまう構成上の欠陥も「ウェイトレス」そのまんまで、シェリルやディトが自らのエピソードが終了した途端に存在感がなくなるのは何とかして欲しかった。また冒頭で3人がそれぞれの夢を語り、ジャニスやシェリルは夢の実現がエピソードに深く絡んでいたのに、ディトのエピソードだけ俳優デビューを果たさないうちに終了するのも違和感がある。総じてまとまりに欠ける、チグハグな印象の作品だった。
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