スクリーム・プレイ 悪夢の笑激       「評価 D」
脚本家志望の田舎青年エドガー・アレンは、映画界での成功を夢見てハリウッドへとやって来た。彼は最初に立ち寄ったコーヒーショップで、映画プロデューサーのウィナーと知り合った。ウィナーから「脚本が出来たら私のところに電話をくれ」と声をかけられ、突然のチャンスの到来に胸を弾ませる。しかし人生、そんなに良い事ばかりが続くものじゃない。街をウロウロしていたエドガーは、映画館でホラー3本立てを見ていた最中、尿意を催してトイレに入った。だがそこでオカマの強盗と遭遇し、金品を巻き上げられそうになる。その場に居合わせたタフガイのマーティンが強盗を取り押さえようとしたものの、彼は勢い余って強盗の首を折って惨殺。たちまちエドガーとマーティンは、事情を知らない警察たちから追われる身となってしまったのだ。行く当てのなかったエドガーは、マーティンが経営するオンボロアパートに身を寄せることにした。そのアパートの住民ときたら、役者志望の美女ハリーを始め、往年の女優にして美少年キラーのニーナ、麻薬中毒のハードロッカーのロト、陰険な中年男性クラインドロフと、どれもこれも強烈な個性の持ち主ばかり。そこでエドガーはアパートの管理業務を手伝うかたわら、彼らを主人公にしたホラー映画の脚本執筆にとりかかった。彼らが一人一人、謎の殺人鬼に殺されていくという筋書きだ。ところが脚本も八割方できあがった或る日のこと、エドガーの脚本が何者かに盗まれてしまった。誰が脚本を奪ったのか、犯人探しを開始するエドガー。更にその直後、ニーナが何者かの手によって、浴槽に沈められ惨殺される。彼女の死に方は、エドガーの脚本の描写と完全に一致していた。その後も、ロトが、クラインドロフが、脚本そのままの方法で殺害された。エドガーの脚本を奪った犯人が、それをなぞらえて連続殺人事件を起こしていたのだ…。
ハリウッドで巻き起こる惨劇をモノクロの映像で綴る、85年製作のトロマミステリー。邦題に「笑激」なんて付いてあるが、本作のコメディ要素は非常に薄く、せいぜい見所といえば登場人物たちの顔芸ぐらいのものだ。本作におけるエドガーを始めとする登場人物たちは、あらゆる場面において、まるで無声時代のハリウッド映画のごとく大げさな表情を浮かべる。それが本当にどうでもいいシーンでも変わらないものだから、初めのうちは可笑しくてしょうがなかった。だがその一点だけで90分超の上映時間を持たせることができるはずもなく、次第に御大層な表情や演技に慣れてくると、途端に退屈なミステリー映画へと早変わりしてしまった。ミステリーとしては本作、肝心の猟奇シーンの演出に顔芸ほどのこだわりが感じられず、非常に淡白な印象を受けるのだ。二転三転するクライマックスはそれなりに見応えがあったが、そこに至るまでの展開が凡庸すぎて嵌まるに嵌まれなかったのが惜しまれる。ラストでわざわざエドガーの株を落とすのも理解に苦しむし、どうにも楽しめない作品だった。
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