初体験物語 ファースト・ターン・オン!      「評価 B」
毎年夏、湖畔の“ビッグ・ティー・ピー”キャンプ場では、青少年を対象とした6週間の共同生活プログラムが開催されていた。ところがこのプログラム、キャンプ場のオーナーが金儲けのことしか頭にないために、ろくな食べ物が出ない上、同じ研修内容が何回も繰り返され、参加者たちも終わる頃になるとすっかりウンザリの御様子。そして最終日、ミッシェル先生が引率するグループは、何度目かの自然観察をやることとなり、みんなでキャンプ場周辺の野山を歩き回っていた。しかしミッチ、ヘンリー、アニー、ダニーの悪ガキ4人組は、途中でグループを抜け出すと、岩場の洞窟に入ってハッパをきめることにした。やがて彼らがいなくなったことに気づいたミッシェル先生が連れ戻しにやって来るが、その矢先にヘンリーが強烈な屁をこいた影響で落盤が発生。洞窟の入り口が岩で塞がれ、敢え無く5人は洞窟の中に閉じ込められてしまった。5人は救援を待つ間、他愛ない会話を始めるが、しばらくすると話題はみんなの初体験の話へと移行した。
ミッチの初体験の相手は、ヒッチハイクを通して知り合った娼婦だった。後日娼婦の家に行くことになったミッチは、初めてのことに対する不安から、セックスに関する知識が豊富な友人ジェフを連れて行った。まずはジェフがお手本を見せることになったが、実はジェフはセックス経験がゼロ。「濡れさせる」という本の記述を勘違いして女にバケツで水をかけたりと頓珍漢なことばかりする始末で、怒ったミッチはジェフを追い出し、改めて娼婦とセックスすることになった。
ヘンリーの初体験は、ハロウィンの夜だった。幽霊の格好をして街を歩き回ることにしたが、その幽霊の外見はどう見てもKKK団そのもの。好物のピザを片手に街をうろついていたヘンリーは、黒人のタフガイどもに金髪美女のバーバラが襲われている現場に遭遇。案の定KKK団と勘違いされてボコボコにされるヘンリーだったが、これが切っ掛けでバーバラと仲良くなり、彼女の家で初めてのセックスに及ぶのだった。
アニーが初体験をしたのは、友達たちとパジャマ・パーティーをした日の夜だった。彼女の家に食料目当ての泥棒ジョニーが忍び込み、アニーがそれを撃退する。だが少し前に友人たちとセックスの話題で盛り上がっていた余韻もあり、彼女はジョニーを羊小屋に連れ込み、初めてのセックスに及ぶこととなった。
ダニーの初体験の場所は、兄と一緒に旅行した先のビーチだった。それまでグラビアガールを相手にセックスする妄想ばかりしていたダニーだが、ビーチでその憧れのグラビアガールと出会い、仲を深める。そしてホテルのベッドでセックスに及ぶが、そこへ兄とのセックスがうまくいかなかった兄の彼女まで乱入し、予想外の3Pへと発展した。
ミッシェル先生の初体験は学生時代だった。当時ミッシェルは、ボーイフレンドのドゥエンと親密な関係を築いていた。ドゥエンは彼女の両親との食事の場に、油まみれの汚い格好でやってきて、出された食事を手づかみで食べるような下品な男だったが、ミッシェルはそんな彼にメロメロだった。しかしパーティーの夜、ミッシェルはドゥエンを他の女に取られてしまう。悲しみに暮れていたところ、彼女は2人のナイスガイからボウリングに誘われ、ボウリング場の硬いレーンに寝そべりながら3Pをしたのだという。
5人がそれぞれの体験談を語り終えても、まだ助けは来ない。洞窟内の酸素も薄くなり、5人は自らの死を予感すると、全員これまでの話が嘘だったと告白し出した。そして「このまま童貞・処女のままで死ぬのは嫌だ!」と、全員裸になって乱交パーティーに及ぶ。ところが5人の激しいあえぎ声は、洞窟の入り口を塞いでいた岩をも吹き飛ばした。彼らは無事に洞窟から出ることができ、キャンプはつつがなく終了したのだった…。
毎度お馴染みトロマ社による、若者たちのおバカなサマーキャンプの顛末を描いたピンクコメディ映画。5人の男女のセックス体験談をオムニバス形式で追うのがメインストーリーとなっているが、その合間合間には、いかにもトロマらしいイカれたサマーキャンプの状況が小話的に挿入される。キャンプでは公然とドラッグやダッチワイフを販売するなんて当たり前。粘土工作でチンコを握る手の彫像を作ったり、“公害垂れ流し企業”提供による「自然は素晴らしい」なんて不謹慎極まりない環境映画(戦車に乗って野生動物たちを轢き殺しながら野山を駆け回り、絶滅寸前の鳥たちをガンガン撃ち殺すという凄まじい内容)がプログラムの一環として上映されたりと、何ともクレイジーなネタの嵐だ。また前述の「幽霊→KKK団」のネタや、唐突に「プードルとなんかやれないわ!」と場内放送が流れるところなど、後年の「サウスパーク」に影響を与えたと思われるネタも何点か見受けられるのも見逃せないところ。映画のテンポがいいため次々と繰り出されるくだらないネタを深く考えることなく純粋に笑うことができ、実に楽しい作品だった。
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