アバター・オブ・マーズ             「評価 C」
アメリカ軍特殊部隊のジョン・カーターは、アヘン畑を監視する任務中、仲間の裏切りに遭って瀕死の重傷を負ってしまう。生死の境をさまよう彼に対し、軍の上層部は新たなる任務を与えた。アルファ・ケンタウリ星系の小さな惑星、火星216。地球そっくりの環境をもつこの惑星が、人類の居住に適しているかどうかを調査して欲しいというのだ。早速肉体の構成データが火星216へと転送され、ジョンは自分の分身と言える体で未知なる世界に降り立った。だがその頃火星216は、古来より星の大気を維持する装置を守り続けてきたヘリウム王国と、王国の迫害から奮起したサルクス族とが、星の覇権をかけて戦争の真っ最中。そんな中でジョンは、この惑星の重力が地球よりも弱いこともあり、驚異的なジャンプ力と圧倒的なパワーを発揮し、たちまちサルクス族の戦士タルスに気に入られ、彼らと行動を共にすることとなった。やがてタルス率いる小隊は、ひょんなことからヘリウム王国の皇女デジャーに遭遇し、彼女の身柄を確保した。デジャーを檻に幽閉し、サルクス族の本拠地へと連れて行くジョンたち。だが本拠地でジョンを待ち構えていたのは、地球で彼を瀕死に追いやった張本人、サルカだったのだ…。
バロウズの「火星のプリンセス」を、ディズニーよりも一足先に映像化したSF冒険活劇。邦題に「アバター」と付けられたのも頷けるような火星への移動手段に始まり、食べることで異星の言語を理解できるようになる翻訳ミミズや、未来風なのに何処となくエキゾチックな大気清浄装置の様子など、作中の至るところに心躍らせるギミックが散りばめられていて飽きさせないのは、如何にもバロウズの作品といったところだ。ただこの映画、宇宙クモなどのクリーチャーは貧相なCGで見栄えがしないし、本来盛り上がるべきところがアッサリと片付けられて肩透かしだし、どうも技術や演出が足を引っ張り、作品の魅力を削いでいたように感じられた。特に気になったのが、クライマックスにおけるサルカとの決戦だ。折角2人とも超人的なジャンプ力とパワーを持っているという設定なのに、ただ剣を持ってチャンバラするだけというのは如何なものか。ジャンプも場所移動ぐらいにしか活用されず、なんとも煮え切らない印象だった。
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