デスドローム 魔界帝王           「評価 C」
ダラスでレコード会社を経営するスティーヴには、妻リンダにも打ち明けていない秘密があった。スティーヴは幼い頃、故郷のスウェーデンにて、友人のエリックと共にいけ好かない教師ジョージ・アンダーソンを脅かそうと、彼の家に爆竹を投げ込んだ。ところが爆竹の火花は家具に燃え移り、ジョージ先生は焼死してしまう。この事件はスティーヴとエリックの心のうちにしまい込み、長年隠し続けていた。しかし今になって、スウェーデンのエリックから手紙が届いた。それによると、ジョージ先生が亡霊となって蘇り、エリックの前にたびたび現れるようになったというのだ。にわかには信じられない話だが、スティーヴは過去の事件への後ろめたさもあり、休暇の旅行をキャンセルして、妻リンダと共に、エリックのもとを訪ねてみることにした。家に来てみると、エリックはすっかり精神的に参っており、衰弱していた。ジョージ先生の亡霊が毎日のように幻覚を見せるようで、彼は日常生活を送ることすら困難な状況だったのである。初めは「幻覚なんてエリックの思い込みでは」と疑っていたスティーヴとリンダだったが、すぐに2人の前にも恐ろしい幻覚が出現し、エリックの話が紛れも無い事実であることが判明する。そこで3人は幻覚を打ち払うために、ジョージ先生の家があった工場跡を爆破しようとするが…。
復讐に燃える亡霊の恐怖を描いた、スウェーデン製のホラー映画。ジョージの亡霊は幻覚を見せる以外には本当に何もしないのだが、その幻覚が、蛆虫を吐き出す、口の中から焼け爛れた腕が伸びる、ビールジョッキの中に毒蜘蛛が出現する──といった生理的に嫌なものであるのに加え、生きた人間の見た目をジョージの姿に変えることで、亡霊を追い払おうとする人間たちの間で同士討ちを誘うなんて芸当も見せ、十分すぎるほどに恐ろしさを発揮していた。初めは荒唐無稽だった幻覚が次第に精巧なものになっていき、現実と幻覚の境目を曖昧にさせる展開も面白い。主人公たちが、幻覚で同士討ちしてしまう危険があるのを十分承知しているにもかかわらず、いつまでもライフル銃を携え続け、幻覚に対し容赦なく発砲し続けるのは流石に頭が悪すぎるように感じられたが、なかなか楽しめる映画だった。
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