スプラッターズ・ロック            「評価 B」
2年前、リンが所属していたロックバンドは、新曲のレコーディングを行っていた。ところがその日の収録を終えた時、突如リーダーのビリーが豹変。他のメンバーたちを次々と殺し、あまつさえリンまで手にかけようとしたが、寸でのところで警備員に止められ、敢えなく逮捕された。その後、ビリーは無実を訴えたものの死刑となり、遺体は墓の中へと埋葬された。そして現在、リンは忌まわしい過去から立ち直り、当時のメンバーと共にロックバンドを再結成した。数日後に復活記念コンサートを控え、調整に入るメンバーたち。だがそんな時、リンの前にビリーが出現した。彼はナイフを持って何度もリンのことを追い回し、彼女を精神的に追い詰めていく。しかし確かに、ビリーは処刑されたはず。ならばリンを追い詰めているのは、何者なのだろうか。コンサート当日、混乱するリンのもとに再度現れたビリーは、驚くべき事実を打ち明けた。実はビリーと思われていたのは、彼そっくりに変装した弟のジョンだった。根っからの殺人狂だったジョンは2年前、ビリーに変装して人を殺すことで、兄に罪をなすり付けていたのである。まさかの真実を知り、愕然となるリン。ジョンは彼女を気絶させると、自らの計画を実現するための準備に取り掛かった。彼はコンサートの最中、ステージ上でリンを公開処刑しようとしていたのだ…。
「ジャングル・クイーン」シリーズなどのお色気アクション映画を得意とする、ビヴァリー・C・セバスチャン&フェルダンド・セバスチャンのコンビによるロックンロール・ホラー。スプラッター&ロックというコンセプトと言ったら、雪山でロックバンドが惨劇に見舞われるという内容でありながらロックミュージックが全然流れなかった「血のロックンロール」が思い出されるが、本作は「血のロックンロール」とは大きく異なり、作中の至るところでロックミュージックが流れて場を盛り上げてくれていた。特にクライマックスのライブシーンでは、ハードなメロディをバックにジョンが鎖に縛りつけた美女たちを次々と公開処刑し、挙句に美女の生首を観客席に投げ込むという、「これぞロックとスプラッターの融合だ!」と言わんばかりの光景が繰り広げられており、「血のロックンロール」でゲンナリさせられた身としては、ただただ感激するより他なかった。しかもラストでは、ジョンが全身血だらけになってもシャウトを止めないロック魂を見せてくれるだけでなく、彼の絶命と同時にエンドロールが流れるというライブ感たっぷりな演出まで盛り込まれ、実に満足のいく内容だった。しかし一方で、映画中盤までの殺人シーンでは、普通のホラー映画同様にスリラー調の音楽が使用されており、あまりロックらしさが感じられなかったのは残念に感じられた。
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